経営技術論 2016.06.02

[今回のpdfデータおよび配布物]
授業メモ
 
配布した新聞記事
1.「原発無人ロボ、東電「いらぬ」 JCO事故後、30億円で開発→結局廃棄 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
2.「業界慢心、ロボ頓挫 「原発で事故起きる?」 原子力災害用の遠隔操作ロボット 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
3.「原発特殊任務、軍事ロボ出番 米ハイテク3社、支援へ動き 福島原発事故 」『朝日新聞』2011年04月01日朝刊
 
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教養演習 2016.06.07

Product design視点から見た製品イノベーションの基本的方向性
1) 旧世代製品にない新機能を、新世代製品に持たせる(新機能追加)
2) 旧世代製品の性能よりも、新世代製品の性能を向上させる(高性能化)
 
「Product design」視点から見た製品イノベーションの具体的様相
現実の製品イノベーションにおいて、上記の基本的方向性がすべての面で常に満たされているわけではないが、重要な機能に関してはそうした視点から考察することができる。
 
新世代製品と旧世代製品の優劣に関する様々な視点からの考察
新世代製品と旧世代製品の間の製品間競争のあり方、すなわち、新世代製品と旧世代製品の優劣に関しては様々な視点から考察することができる。

現実の製品イノベーションの社会的普及の成功・失敗を規定している要因を製品視点から分析する際には、そうした多面的視点からの考察が有用である。
例えば、下記のような問いの視点から考察することが有用である。

問1 新世代製品はどのような意味において旧世代製品よりも機能面において優れているのか?あるいは、劣っているのか?
問2 新世代製品はどのような意味において旧世代製品よりも性能面において優れているのか?あるいは、劣っているのか?
問3 新世代製品がその本来的な機能・性能を発揮するのに必要な補完財の社会的普及度は、旧世代製品がその本来的な機能・性能を発揮するのに必要な補完財の社会的普及度と比べて一般的には劣っている。補完財製品の普及度向上に関する戦略的対応としてどのようなことが想定されているのか?
 
「製品のシステム性」視点から見た製品イノベーション
 
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情報公共論 2016.06.07

[前回の授業内容]情報公共論2016.05.31
[次回の授業内容]情報公共論2016.06.14
 
イノベーション視点から見た公共的情報財
 
1.イノベーションのseedsとしての公共的情報財
a.新しいproductを生み出すためのresourceとしての先行の公共的情報財
Public domainの著作物[書籍, 論文、softwareなど],Open Contents, Open Source Software
 
b.新しいproductを普及させるための補完財としての公共的情報財
  1. カラーテレビという製品イノベーションの社会的普及に貢献したNHKのカラー放送TV番組(ハードウェアとしてのTVに対する必須補完財としてのソフトウェアとしてのTV番組)
  2. 4Kテレビという製品イノベーションの社会的普及への貢献が期待されているNHKの4K放送TV番組(ハードウェアとしての4K TVに対する必須補完財としてのソフトウェアとしての4K放送TV番組)
 
c.新しいproductを生み出すためのTechnologyという新規の公共的情報財の開発
 
2. テレビ製品のイノベーション
 
3.テレビ製品のイノベーションに対するNHKの貢献
テレビ製品のイノベーションに関して、広告収入に依存している民放では果たせない役割をNHKは果たしている。
 
[関連参考情報]
 
[理解しておこう]
ポイント1 カラー放送開始は1960年であったが、カラーTVの世帯普及率は1966年でも0.3%と低かった。
TV1957-1976
日本のカラー放送が開始されたのは1960年9月10日である。これは、アメリカ、キューバに次いで世界で3番目であった。しかしながらカラーTVの世帯普及率は放送開始から6年後の1966年でも0.3%と低かった。
白黒TVからカラーTVへの製品イノベーションの社会的普及のためには、カラーTV放送番組が必要不可欠である。しかし白黒TVが一般的でカラーTVの社会的普及率がそのように低い1960年代の時期(特にその前半期)には、カラーTVの視聴者が少ないためカラーTV放送番組を制作してカラーTV用CMを流すことのメリットは民放にはまったくなかった。カラーTV放送を行うためには、撮影装置・放送設備のカラー化対応など多額の投資が必要であるが、ほとんどの家庭が白黒TVしかない時期にはカラーTV放送によるCM収入増は期待できない。
[関連参考情報]

 
ポイント2 4Kテレビの215年の世帯普及率は1.9%。また、地上波デジタル放送番組の一般的解像度は1440×1080(約156万画素)である。4K(3840×2160、約830万画素)どころか、2K(1920×1080、約200万画素)のフルハイビジョン放送も一般的ではない。」
2015年の日本国内における薄型TVの出荷台数は512万台であるが、その内で4K対応TVは12.3%の63万台である。4KTVの年間出荷比率は以前よりおかなり増大はしたが、4Kテレビの世帯普及率は、2015年末で約1.9%度である。このように4Kテレビの世帯普及率がまだ低いため「民放の中には設備投資や制作コストがかかる4K放送の本格参入に二の足を踏む局もある。」と言われている。
[関連参考情報]
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原発ロボに関する課題

「原発事故に対応する遠隔操作ロボット」(原子力災害用無人ロボット、以下では原発ロボと略称)に関しても、コトラー的なneeds(狭義), wants, demandという視点から考察することができる。

下記資料を基にして、そのことに関する下記の問いに答えなさい。

1.「原発無人ロボ、東電「いらぬ」 JCO事故後、30億円で開発→結局廃棄 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
2.「業界慢心、ロボ頓挫 「原発で事故起きる?」 原子力災害用の遠隔操作ロボット 」『朝日新聞』2011年05月14日夕刊
3.「原発特殊任務、軍事ロボ出番 米ハイテク3社、支援へ動き 福島原発事故 」『朝日新聞』2011年04月01日朝刊
4.「原発ロボ、なぜ外国製ばかり 日本製は1台のみ」『朝日新聞』2011年06月25日朝刊、週末be(be report)

(注>上記の記事は、明治大学図書館の外部データベースサービスの「聞蔵II ビジュアル(朝日新聞)」で、そのテキストおよびpdfをダウンロードできる。)

問1 原発ロボに対するコトラー的な意味におけるneedsの有無について論じなさい。すなわち、原発ロボがコトラー的な意味におけるneeds(狭義)を持つと思う人は下記の(1)の問いに、コトラー的な意味におけるneeds(狭義)が持たないと思う人は(2)の問いに答えなさい。

(1) コトラー的な意味におけるneeds(狭義)が有るproductであることは、どのような点に示されているのかを具体的に論じなさい。
(2) コトラー的な意味におけるneeds(狭義)が無いproductであることは、どのような点に示されているのかを具体的に論じなさい。

問2 問1で原発ロボがコトラー的な意味におけるneeds(狭義)を持つと回答した人は下記の(1)の問いに、コトラー的な意味におけるneeds(狭義)を持たないと回答した人は(2)の問いに答えなさい。
(1)  原発ロボがコトラー的な意味におけるneeds(狭義)を持ったproductであったにも関わらず、東京電力がそのproductに対するdemandを持たなかった(すなわち、原発ロボを買わなかった)理由は何かを考察しなさい。また原発ロボを買わなかった東京電力の決断は社会的に妥当なものであったのかどうかを論じなさい。

(2) 原発ロボがコトラー的な意味におけるneeds(狭義)を持たないproductであるにも関わらず、通産省が1999年度の補正予算で原発ロボの開発費として30億円を日立製作所、三菱重工業、東芝などの4社に支出した決断は社会的に妥当なものであったのかどうかを論じなさい。

問3 下記資料を基に、原発ロボの研究開発がどのように進められてきたのかを分析しなさい。

「国産ロボット解体の訳 110億円投じて開発したのに」『週刊アエラ』2011年05月02日号
SanD!!!「災害用ロボットの歴史」

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受信料制度に関するNHKの見解

 
free riderを排除するシステムへの移行に賛成の意見
上記文書には、NHKでもWOWOWなどと同じくB-CASカードを利用したfree rider排除システムを採用し、受信料未払いの世帯にはNHK放送を視聴させないようにすべきだという趣旨の意見が下記のようになされている。
「CS同様自己申告による有料放送にすべきです。」「BSだけでなくNHK視聴料金を払わない人が非常に多過ぎるので、スクランブル方式にして完全に視聴出来ないようにして欲しい。」、「誰が金なんて払うんでしょうか。さっさと金払わないと放送を受信できない方式にしたらどうですか。」、「受益者負担の原則からも、視聴したい方からは100%徴収すべきですし、衛星放送を視聴したくない方からは、受信機を所有するだけで徴収すべきではありません。」、「いっその事、地上波もBSも全て受信料の支払が確認できなければ、映像そのものを視聴できなくしてはどうか。」
 
スクランブル化に対するNHKの主張
「なぜ、スクランブルを導入しないのか」という文書において、NHKは下記のように主張している。
 
NHKは公共放送の財源として受信料がふさわしいと考えています。「スクランブル」は限られた人だけが情報を入手できる仕組みであり、一見合理的に見えますが、全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにする、という公共放送の理念と矛盾し、問題があると考えています。「スクランブル」では、どうしても「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念があります。視聴者のみなさまにとって、番組視聴の選択肢が狭まり、健全な民主主義社会の発展のうえでも問題があると考えています。
 
上記のような「公共放送」に関するNHKの見解に対しては、下記のような反論が可能である。
 
1.スクランブル放送が「全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにする、という公共放送の理念と矛盾」するという主張は、無料でも多数の衛星放送やネット動画を視聴できる21世紀の今日では適切ではない。
NHKのこうした主張は、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組」を放送することをNHKの使命とする放送法第15条の記述に基づくものであるが、これは放送法制定当時の1940年代後半の状況においてのみ有意味な規定である。
21世紀の今日では、「あまねく日本全国において」民放が少なくとも1局以上は視聴可能であるだけでなく、BS放送やCS放送が全国各地で視聴可能である。
BS放送やCS放送といった衛星放送は、「一つの送信点から一波で全国をカバーすることにより経済的、効率的に全国放送を実現することが可能であり、離島等における難視聴解消にも適している」[総務省 情報流通行政局 衛星・地域放送課(2016)「衛星放送の現状〔平成28年度第1四半期版〕」2016年4月1日]技術的手段である。
また21世紀の現在では、インターネットによって動画が配信可能である。サイバーエージェントとテレビ朝日が合弁で設立したインターネットテレビ局「AbemaTV」は、「無料でテレビ番組が見れる」ことを売り物にしている。それだけでなく「AbemaTV」は、自社1局で22チャンネルを持っている。その中には、24時間ニュースを報道するチャンネルもある。youtubeでは極めて多数の動画を無料で見ることができる。
 またNTTドコモとエイベックスの共同事業である動画見放題サービス「dtv」の会員数、2016年3月27日には会員数500万人を突破した。NHKも会員限定の有料サービスとして、NHKオンデマンドという動画配信サービスをおこなっている。
、このように衛星放送やインターネットといった新しい技術的手段により、「あまねく日本全国において」多数の動画コンテンツを視聴可能となっている。
 
2.教養・教育を目的とした放送番組は、民放も提供している。また放送に限定しなければ、教養・教育に有用な動画は、youtubeなどインターネットでも数多く提供されている。NHKだけが、教養・教育を目的とした無料の動画コンテンツを制作・配信しているわけではない。
 それどころか、NHKオンデマンドにおける動画配信は有料会員限定のサービスである。ネットの世界で教養・教育系動画をpure public goodsとして提供しているのは、youtubeなどの営利企業や、creative commonsなどの情報系非営利組織である。
 
3.「正確かつ広範囲のニュース・報道番組」を提供するということは、NHKだけでなく、民放も行っている。民放のニュース・報道番組を、不正確、あるいは、狭い範囲に限定されているするのは不適切である。
 実際、営利企業の新聞社の報道は、「営利」組織であるため不正確、あるいは、狭い範囲に限定されているとは言えない。しかも編集権の独立は、NHKと同等かそれ以上と考えられる。
 
4.NHKは上記文書やNHK「公共放送とは何か」という文書における「営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送」という公共放送の規定などに見られるように、「民放は営利を目的としているから公共放送ではない」という趣旨の主張を展開している。
 しかし、free riderを排除しないテレビ放送をおこなっている民放も、NHKと同じく公共経済学的な意味でのpure public goodsを視聴者に対して提供している。視聴者に対してpure public goodsを提供しているのは、NHKだけではない。
 
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情報公共論 2016.05.31

[前回の授業内容]情報公共論2016.05.24
[次回の授業内容]情報公共論2016.06.07
 
同種のgoodsを生産・提供している公営企業・NPOと営利企業の競合問題
非営利組織(公営企業・NPOなど営利を追求していない組織という広義の意味での非営利組織)と営利企業が、同種のgoodsを生産・提供している場合がある。こうした場合には、次のようなことが問題にされる場合がある。
同種のgoodsを生産・提供している営利企業が存在しているにも関わらず、非営利組織がそうしたgoodsを生産・提供することは「非営利組織による民への圧迫」と位置づけれることができるのではないか?すなわち、非営利組織の活動規模が大きくなればなるほど、営利企業の収益が悪化し、事業継続が困難になり、最悪の場合には営利企業の倒産が起きる、といった事態も予想される。
こうした問題は、いわゆる「官による民への圧迫」問題と同種の問題である。同問題が一般的に受容されている背景には、「民間営利企業ができることは、官のような公的組織ではなく、民間営利企業に任せた方がより効率的である」(官から民へ」「民間でできることは民間に」)という認識とともに、「税金などの公的資金を使った組織が、民間企業の営利活動を妨害するのは社会的に妥当ではない」といった認識があるからである。
 
[考察してみよう]
問題1 大学授業料問題
高等教育を提供している組織としては、国立大学のような公的組織と、私立大学のような民間非営利組織がある。国立大学の授業料は1960年代は年間12,000円と極めて低かった。1971年まで同金額であったが、国立大学授業料の受益者負担主義を打ち出した1971年の中教審答申(四六答申)に基づき,「私立大学との格差是正」をスローガンに授業料の継続的値上げが実施された。1971年後期にはまず授業料の3倍化が実施された。2015年度には国立大学の授業料の標準額は1970年度までの約45倍の553,800円となっている。
さて国立大学がさらに値上げを実施し、私立大学の授業料と同水準になれば、「官による民の圧迫」がなくなったというように、現象的には捉えることができる。
「実際にそのようにすることは社会的に妥当だろうか?」「大学授業料の問題はどのように考えるべきか?」ということを、給付型奨学金などの制度設計とも関連付けながら論じなさい。
 
 
問題2 NHK受信料問題
NHKと民放はどちらもデジタル地上波放送やBSデジタル放送というnon-excludableなgoodsとしての情報財を提供している。TVを持っている人から「強制的」に受信料を徴収しているNHKという非営利組織が必要な理由は何かを考察しなさい。
具体的には下記のような視点から考察をおこないなさい。
  1. 「NHKが視聴率の高い番組を制作・配信することは、民放の広告収入減をもたらす。これは、受信料収入に依存しているNHKという公的組織が民放という民間組織の業務を圧迫することであり、社会的に妥当なことではないのではないか?」
  2. 「NHKという公的組織の存在が、民放の業務を間接的であれ助けているといった側面はあるのか?」
  3. 「なぜ受信料をNHKだけが独占し、他の情報系非営利組織に配分しないのか?そうしたことは社会的に妥当とは言えないのではないか?(例えばインターネット経由で無料のニュース動画、教養系動画、高等教育系動画を提供している民間非営利組織の事業に配分すべきではないのか?例えば、NHK教育テレビと同種のgoodsを制作・提供しているMOOC(ムーク)事業creative commonsライセンスに基づく動画制作・配信事業に受信料を配分すべきではないのか?)」
  4. 「NHK受信料が高額であることが日本におけるTV市場の停滞を招き、日本のテレビメーカーの赤字および事業撤退をもたらしたのではないか?価格.comによれば、32インチTVの最安値は2016/5/31現在で23,500円である。32インチTVの価格よりも、NHKの衛星契約の口座振替による1年間前払のNHK受信料24,770円の方が高いのである。また50インチTVの最安値は2016/5/31現在で63,466円である。10年近くは使用可能と思われる50インチTVの価格はNHK受信料の3年分にも満たない。NHK受信料が減額あるいはゼロになれば、日本でもっとTVが数多く売れるようになるのではないか?NHKの受信料はテレビメーカーの事業を圧迫していると言うべきではないのか?」
  5. 「NHK以外の様々な組織体が、NHKが提供しているのと同種の公共的情報財を制作・配信している。こうした状況下においてNHKの存在意義はどこにあるのか?NHKが他の組織体にはできない公共的情報財を提供しているのか?提供しているとすれば、それはどのようなものなのか?」
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情報公共論2016.05.24

[前回の授業内容]情報公共論2016.05.17
[次回の授業内容]情報公共論2016.05.31
 
private goods, common goods, club goods, public goods再論
今回のポイント
  1. 事業・活動継続のためにコストがかかる場合には、事業・活動の資金を何らかの形で調達する必要があるが、excludableであれば、顧客・利用者から代金・料金を徴収することでそうした資金調達が可能となる。
  2. rivalrousであれば、希望する全員が利用することはできない。希望者全員に制限なく引き渡しや利用を認めれれば、「コモンズの悲劇」で示されているような問題が生じる。そうした問題の発生により社会的利益・公共的利益が損なわれることを防ぐためには、何らかの形で利用の制限が必要となる。そのための一つの方法が顧客・利用者から代金・料金を徴収することである。
  3. non-rivalrousであれば、希望する全員が利用できる。希望者全員に制限なく引き渡しや利用を認めても、「コモンズの悲劇」で示されているような問題は生じない。したがってnon-rivalrous goodsをexcludableとするか、non-excludableとするかは、non-rivalrous goodsの維持・管理・再生産のための資金を、どのような形で調達するかということにより規定される。引き渡しや利用に応じて代金・料金を徴収することで資金調達するのであれば、excludableに、そうではなく、引き渡しや利用とは無関係に資金を調達するのであればnon-excludableとすることになる。
  4. non-excludableとし、代金・料金を支払わないfree riderを際限なく認める場合には、goodsの維持・管理・再生産のための資金を「税金」「受信料」「寄付金」などの方式で調達する必要がある。
  5. non-excludableなgoodsで、そのgoodsの維持・管理・再生産のためのコストが基本的には引き渡し数・利用数に応じて増加しない場合(すなわちfixed costはかかるが、variable costがゼロとなる場合)には、「税金」方式で調達するのが資金調達コストが最小となり経済的には合理的である。また社会的公平性にもかなっている。
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情報公共論 任意提出課題>2016/5/31授業 予習用課題

NHKは「公共放送は本当に必要なのか」というWEBページにおいてNHKの存在意義に関する説明をおこなっている。
http://www.nhk.or.jp/faq-corner/01nhk/01/01-01-18.htm

同WEBページを読んだ上で下記の問いの一つ以上に関して、レポートを書きなさい。

問1 NHKの報道番組に限らず、報道に関しては「公正性が必要である」ことや「編集権の独立が重要である」と主張されている。このことは、日本新聞協会の下記声明にも示されている。

日本新聞協会(1948)「日本新聞協会の編集権声明」1948(昭和23)年3月16日
http://www.pressnet.or.jp/statement/report/480316_107.html

 報道に関するこうした社会的要請は、NHKのような非営利組織に限らず、民放や新聞社のような営利企業も遵守すべきだと考えられている。そうだとすれば、「放送の自主自律を貫き」ということはNHKの独自の公共性を意味するものではなく、報道に携わるすべての非営利組織や営利企業が遵守すべき普遍的な公共性である。
NHKのWEBページ「公共放送は本当に必要なのか」に関して、「営利企業という形態でもNHKという形態でも持ちえる公共性には何があるのか?」、「営利企業という形態では持ちえないNHK独自の公共性には何があるのか?」という視点から分析的に論じなさい。

 
問2 NHKの籾井会長の発言に関しては、下記の記事を含め、「NHK報道の公共性を疑わせるものだ」との批判的意見がある。
NHKの籾井会長の発言を問題視する下記の記事以外にどのようなものがあるのかを調べて、下記記事のような形で列挙するとともに、「NHK報道の公共性を疑わせるものだという主張の根拠とされている事実はどのようなものであるのか?」「自分はどう思うか?」を述べなさい。
 
問3 下記の記事を読み、「政治家からの放送の自立性確保のためには、どのようにすべきと主張されているのか?」、「そうした主張に対して自分はどのように思うのか?」を論じなさい。
 
問4 NHKのWEBページでは、「放送の自主自律を貫き」と書かれているが、これに対する批判的意見も少なくない。下記新聞記事、および、それに関するWiki記事、ブログ記事を読んだ上で、NHKが「放送の自主自律を貫く」ことを制約していると思われる制度的背景は何かを論じなさい。
1.川本裕司(2009)「(私の視点 記者の視点)NHK番組改変 検証番組つくり説明果たせ」『朝日新聞』2009年06月11日朝刊
2.「NHK番組改変問題」日本語版ウィキペディア
3.佐原(2009)「番組改変「NHKの自立性疑問」BPO審議へ(4日の日記) 」
http://plaza.rakuten.co.jp/bluestone998/diary/200902040000/

[関連参考資料]
  1. 朝日新聞(2005)「幹部「圧力と感じた」 NHK側に2議員意見で番組改変<解説>」 『朝日新聞』2005年01月12日朝刊
  2. 朝日新聞(2005)「NHK番組改変、朝日新聞社の取材・報道」『朝日新聞』 2005年01月18日 朝刊
  3. 朝日新聞(2005)「検証・番組改変の経緯 NHK番組改変問題報告」『朝日新聞』2005年07月25日 朝刊
  4. 朝日新聞(2009)「NHK会長「事前説明せぬ」 関係者ら「第一歩」「時間かかった」 番組改変問題」『朝日新聞』2009年05月13日 朝刊
  5. 朝日新聞(2010)「(書評)NHK、鉄の沈黙はだれのために 番組改変事件10年目の告白 永田浩三著」『朝日新聞』2010年10月03日 朝刊
 
問5 NHKのWEBページでは、「インターネットを活用した新たなサービスやスーパーハイビジョンなど、視聴者のみなさまに新たな価値を提供できるサービスに積極的に取り組むこと」を公共放送の役割としている。「こうしたNHKの主張はどのような意味で正当と言えるのか?それとも正当ではないかのか?」を考察しなさい。
 
問6 日本語版ウィキペディア「公共放送」および日本語版ウィキペディア「公共放送サービス」を読み、日本のNHKのような形態での公共放送局以外にどのような形態がありうるのかかを考察しなさい。
 
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経営技術論 2016.05.26

[今回のpdfデータおよび配布物]
前回配布資料の一部訂正・追加版、pdf版のみ
 
2.ウォークマン関連資料(その3)
「ウォークマン発売 54年7月1日 街の風景が違って見えた日」『朝日新聞』2009年12月05日朝刊
 
3.ウォークマン関連資料(その2)

ウォークマンの製品イノベーション・プロセスに関するseeds-oriented(technology-driven)的説明
ウォークマンの製品イノベーション・プロセスに関するneeds-oriented的説明

 
[今回の授業内容]
1.product designの変化として、product innovationを捉える(再論)
(1) 携帯音楽機器のproduct innovation — product designの歴史的変遷としての製品イノベーション
記録メディア視点から見たproduct designの歴史的変遷
前回配布資料>携帯音楽機器の歴史的変遷の略図
(2) 同一technologyに基づく多種多様なproduct designの存在
携帯音楽機器のproduct designの歴史的な多種多様性=dominant designの短時間における歴史的変遷という具体例に基づく説明
 
2.ウォークマンの製品イノベーション・プロセスに関するseeds-oriented(technology-driven)的説明
 
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SONY ウォークマン関連資料

SONY ウォークマン関連WEB記事
 
ソニー株式会社『Sony History』の中の各記事
 
 
 
 
SONY ウォークマン関連新聞記事
朝日新聞(2009)「ウォークマン発売 54年7月1日 街の風景が違って見えた日」『朝日新聞』2009年12月05日朝刊
日経産業新聞(2010)「ソニー、王座奪還へ猛攻、新ウォークマン12機種――差異化、不可欠に」『日経産業新聞』2010年9月16日
日経産業新聞(2011)「ウォークマン、MD型9月出荷終了、ソニー、CDタイプは継続」『日経産業新聞』2011年07月08日
日本経済新聞(2010)「カセット式ウォークマン終了」『日本経済新聞』2010年10月23日朝刊
日本経済新聞(2011)「ソニー、MDウォークマン、9月に出荷終了」『日本経済新聞』2011年07月08日朝刊
 
SONY ウォークマン関連図書・雑誌論文
ドゥ・ゲイ, ポールほか(2000)『実践カルチュラル・スタディーズ ― ソニー・ウォークマンの戦略』大修館書店, 251pp
ぴあ(2014)『ウォークマンぴあ』ぴあMOOK
ワールドフォトプレス(1999)『20周年記念ウォークマン年鑑 ― 1979ー1999』ワールドフォトプレス (ワールド・ムック 213), 80pp
Nakamoto, Shinichi(1999)「Cultural Study:The Production and Circulation of Meaning in the Case of Sony Walkman」『産業技術短期大学誌』(尼崎 : 産業技術短期大学)33,pp.181-185
鵜飼明夫(2003)『ソニー流商品企画』H&I
黒木靖夫(1987)『ウォークマン流企画術』筑摩書房
黒木靖夫(1987)『ウォークマンかく戦えり』筑摩書房(ちくま文庫), 323pp
黒木靖夫(2004)「ウォークマン流ブランド構築術」『日経ビズテック』2004年10月15日号, pp.168-175
土居輝彦編(1989)「ウォークマン」『機能する道具・傑作品―20世紀の文化を象徴する道具たち』グリーンアロー出版社、pp.194-202
細川周平(1981)『ウォークマンの修辞学』朝日出版社(エピステーメー叢書), 245pp
谷口修平(2012)『うぉーくまん・すかいせんさー ― ありがとういとしの』早稲田出版, 202pp
山際康之(2014)「基調講演 ウォークマンを生み出した開発空間 : 自由闊達にして愉快なる理想工場 (第14回日本オフィス学会大会)」『日本オフィス学会誌』 6(1), pp.24-33
水原紹(2007)「ランドマーク商品としての携帯オーディオ機器–ソニーのウォークマンの事例を中心に」『社会科学』(同志社大学人文科学研究) 78, pp.1-21
https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/13319/007000780001.pdf
水原紹(2009)「ランドマーク商品としてのウォークマンとiPod–携帯音楽プレーヤーの進化の事例を中心に」(特集 ランドマーク商品に関する商品史的研究)『社会科学』(同志社大学人文科学研究) 84, pp.33-55
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経営技術論 2016.05.19

[今回の配布物]
前回配布を忘れたため、配布する。
 
2.ウォークマン関連資料(その1)
 
3.ウォークマン関連資料(その2)
前回配布資料の一部訂正版
 
[今回の授業内容]
1.product designの変化として、product innovationを捉える
(1) design概念の二義性
日本語的意味1>「デザイン」(製品の外形的形状、意匠)としてのdesign
日本語的意味2>「設計」(製品の機能・性能に関する技術的決断、製品の構成module/parts/materialに関する技術的決断としての構造設計)としてのdesign
(2) 同一technologyに基づく多種多様なproduct designの存在
自転車のproduct designの歴史的な多種多様性(dominant design確立前の多種多様性)という具体例に基づく説明
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キーボード配列

Godan配列
フリック入力のためのかな文字配列
「若者のキーボード離れ加速 レポート・卒論でフリック入力も」News ポストセブン、2014/10/21

josh_harn(2016)「実はガラパゴス化している文字フリック入力」NAVERまとめ、更新日: 2016年04月01日
スマートフォンやタブレットなど、スクリーン上に表示されたソフト・キーボードを利用することで日本語文字を入力する技術的方式としてはフリック入力が市場でdominantなproduct designとなっている。

フリック入力はアルファベット文字の入力や、濁音・半濁音・小文字の入力操作ではQWERTY配列に劣るが、かな文字入力としては下記のようにQWERTY配列などよりも技術的利点が高い言われている。

  1. 一般的には、タップの回数を減らすことができる
  2. 片手で入力できる。
  3. 片手で入力した場合のスピードが速い。というのも、「く」と入力するのに、単純なテンキー配列入力では5回、QWERTY配列入力でも「k」「o」と3回タップする必要があるからである。
    キー配列がQWERTY配列入力では26文字分(日本語のみに限定した場合には、母音5個、清音用子音8個+濁音用子音4個+促音用キー(x)1個+であるから23個)

http://matome.naver.jp/odai/2141392346647005001

なぜ、PCでフリック入力が普及しないのか?

「パソコンでもフリック入力!! FlickKeyboard」対応OS : Windows 8.1, 8, 7, Vista

技術的制約
 スマホ画面の大きさによる技術的制約—
スマホ画面の中に、データ表示部分とボタン配列表示分の二つが必要である。そのため、ボタン配列画面はスマホ画面の半分以下の大きさになる。
横型表示ではなく縦型表示の場合には特に小さい。
そのためPCのキーボードのようにブラインドタッチでの両手打ちは困難である。
一段に配列可能なボタンの数には技術的制約がある。QWERTY配列のように、1段に10個以上を配列した場合には押しボタンの大きさがかなり小さくなるために押しにくいだけでなく、押し間違いが増える。

スイッチングコスト

日本語入力に関わる技術革新

アルテ on Mozc

Okuma, N.(2016)「QWERTY、フリックに次ぐスマホの入力方式になるか?Androidキーボード「アルテ on Mozc」リリース」TechCrunch Japan,2016年2月16日
by Nozomi Okuma (@skyidentity)”

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情報公共論 2016.05.17

[前回の授業内容]情報公共論2016.05.10
[次回の授業内容]情報公共論2016.05.24
 
誰でも自由に無料で利用できるものとしてのcommons(共有地、共有物)に関する「コモンズの悲劇」問題
  1. 利用者が制限できなければ、「許容限度を超えた多数の人々の同時利用」や「ほかの人の迷惑を顧みない自分勝手な利用の横行」といった問題が生じる可能性がある。
  2. free riderの利用を認めると、commonsの維持管理などの費用の強制的徴収ができないため、commonsとしての機能維持が困難になる可能性がある。
 
free riderの排除可能性(excludability)に関する基本的ポイント議論
free riderの排除可能性(excludability)はgoodsの自然的性質の問題ではない。
教育サービスに関しては私学教育サービスに見られるようにfree riderを排除可能である。それゆえ公教育においてもfree riderを排除可能ではあるが、実際には排除してはいない。それゆえ私学教育はexcludableに、公教育はnon-excludableに位置づけられることになる。
同じようにB-CASカードを用いた顧客管理が可能なデジタル放送サービスは、WOWOW放送のようにfree riderを排除可能である。それゆえNHK放送においてもfree riderを排除可能ではあるが、実際には排除してはいない。それゆえWOWOW放送はexcludableに、NHK放送はnon-excludableに位置づけられることになる。

NHK放送において技術的にはfree riderの排除が可能なことは、BSデジタル受信機の利用開始から30日後に受信設備の設置確認メッセージが表示され、そのメッセージの消去には利用者の氏名、住所などの登録が必要になることに示されている。なおNHKはその情報を放送受信料の契約業務に利用している。
[関連WEBページ]
NHK受信料の窓口
NHK受信料の金額
NHKオンライン > 受信料の窓口トップ > BSデジタル放送 メッセージ消去のお申込み
NHK「BSデジタル放送メッセージ消去」

 
論点1:non-excludableなgoodsに関わる基本的論点
料金を支払わずに利用しようとするフリーライダーを排除困難(non-excludable)ではあるが、社会的に必要とされるようなgoodsで、なおかつ、その維持・管理・再生産・提供のための費用がかかるgoodsの場合には、何らかの形で資金・人手などを確保する必要がある。
 
論点2:rivalrousなgoodsに関わる基本的論点
多数の人々の同時利用が困難な場合には、利用できる人と利用できない人を分けることが必要になる。その区別には、必要度に応じた区別、利用対価の支払いの有無による区別など多様な方法がある。
 
論点3:法的および技術的にexcludableであることと、実際の場面でexclusionすることの区別
フリーライダーを技術的あるいは法的には排除可能であるが、そのことがどのような社会的意味を持つのかを慎重に検討する必要がある。例えば、一般的なテレビ放送離れの社会的状況の中での、NHK受信料問題の意味を考える必要がある。
 
non-excludableな公共サービスの典型例としての、道路、軍事、警察、消防、救急、灯台
これらの公共サービスは良好な社会生活のために必要不可欠であると同時にnon-excludableであるから(あるいは、non-excludableであるべきであるから)、これらのサービスは税金で賄わることになる。
またこれらの公共サービスの多くはnon-rivalrousであるから(あるいは、公共の福祉・安全の確保という観点から考えて社会的にnon-rivalrousの状態とすべきであるから)、これらのサービスは税金で賄わることになる。
 
[考察してみよう。]
non-excludableな公共サービスとして一般に挙げれているもの(例えば、道路、軍事、警察、消防、救急、灯台)の内で、「公共の福祉・安全の確保という観点から考えて社会的にnon-rivalrousの状態とすべきである」にも関わらず、現在の日本の公共投資・税金投入のあり方の結果として、実際にはrivalrousの状態に置かれているものをすべて挙げるとともに、「現にどのようになっているのか?」「現状のままで良いのか?現状のままで仕方ないのか?将来的には変えるべきなのか?」を考察しなさい。
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経営技術論 2016.05.12

[今回の授業内容]

自転車のproduct designの歴史的変化に関する、アッターバックのdominant design論的性格
 初期におけるproduct designの多様性
 dominant designの長期的持続性 — safety bicycle

アルファベット文字配列のproduct designや、自転車のproduct designは、19世紀から21世紀の今日に至るまで基本的には変化していない。
(変化は部分的である)

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2016.05.10 教養演習A 復習用課題

下記の問いの内のどれか一つを選択し、レポートを書きなさい。
なお来週は、未提出課題がある方および提出の遅かった方から順に、授業中にレポート発表をしていただきます。

ある特定の製品セグメントでは、特定のproduct designが市場でdominantとなっている。そうしたdominant designは、通常の時期には変化しない。dominant designが変化するのは、radicalなproduct innovationが起きている革命的な時期だけである。
 それゆえdominant designの変化として、製品の世代的変化としてのproduct innovationを論じることができる。
例えば電話製品では、ダイヤル式電話機からプッシュホン式電話機への世代交代というradical innovationの時期に、旧来の「円環状」配列から、現在の電話機型数字キー配列(3列4段方式)へとdominant designが変化した。
そして授業中に説明したように、そうした歴史的経緯の関係で電話機では123が上で0が最下段に来る現在の配列というように電卓とは異なるdominant designが採用されたのである。
 
 
数字キー配列に関しては、「電卓」型配列と「電話機」型配列という二つの異なるdominant designが共に使われている。視覚障がい者団体は、どちらか一方への統一を要望しているが、数字キー配列に関してそうしたuniversal design的対応は現在のところはまだ取られてはいない。
 これに対してアルファベット文字入力のための文字配列に関しては、製品セグメントによる違いはなく、ほとんどの製品でQWERTY配列が採用されている。例えば、タイプライター製品(19世紀に発明され20世紀中頃まで広く使われた製品)セグメント、大型コンピュータ製品(1950年代から社会的普及を開始した製品)セグメント、PC製品(1970年代中頃以降に製品市場が立ち上がった製品)セグメント、ローマ字かな入力変換方式の日本語ワープロ専用機製品(1980年代-1990年代末まで広く日本で使われた製品)セグメント、電子辞書製品セグメントなどで、QWERTY配列がdominant designとなり、広く一般に使われている。
 
 
問1 「数字キー」配列と「アルファベット文字キー」配列とでは、product designに関するdominant designのあり方がこのように異なる理由は何かを説明しなさい。
 
 
アルファベット文字キー配列に関して、「QWERTY配列が技術的に最も優れているわけではない。
 英文入力のためのアルファベット文字キー配列としては、「QWERTY配列よりもDVORAK配列の方がより優れている」と一般的に言われている。また、日本語のローマ字かな変換入力のためのアルファベット文字キー配列としては「QWERTY配列よりもNECのM式配列の方がより優れている」というのが一般的見解である。
 GoogleがGodanキーボード配列を最近になり提唱しているのも、QWERTY配列よりも技術的に優れたキーボード配列のproduct designにより、AppleのiPhonとのdifferentiationを考えているからである。
 
 
問2  DVORAK配列やNECのM式配列といった、QWERTY配列よりも優れたproduct designが一定の注目を浴びながらも、なぜ製品市場でdominant designのQWERTY配列に打ち勝つことができなかったのかに関して、きちんとその根拠がわかるように説明しなさい。すなわちDVORAK配列、NECのM式配列、あるいはその他の配列のどれか一つを取り上げて具体的かつ理論的に説明しなさい。
 
 
問3  GoogleのGodanキーボード配列に関して、{DVORAK配列やNECのM式配列といった過去のproduct designと同じく、QWERTY配列に打ち勝つことができないのか?それとも、過去のproduct designとは異なり、QWERTY配列に打ち勝つことができるのか?」ということを具体的かつ理論的に説明しなさい。
 

godan2

[参考図]Godanキーボード配列
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情報公共論 2016.05.10

[前回の授業内容]情報公共論2016.04.28
[次回の授業内容]情報公共論2015.05.17
1.私的財の必要性・有用性を示す「コモンズの悲劇」 vs 共有財の必要性の必要性・有用性を示す「アンチコモンズの悲劇」
「コモンズの悲劇」で取り上げられているコモンズとしての牧草地は、ある場所の牧草を一頭の牛が食べると、その牛が食べた場所の牧草を他の牛が食べることができない。その意味で、「コモンズの悲劇」問題は「消費における競合性」(rivalrousness)問題でもある。
もちろん一頭の牛が食べる量には一定の限度があるので、牧草地の面積に対してその牧草地にいる牛の数が少ない場合にはそうした「消費における競合性」は顕在的な問題とはならない。
 「コモンズの悲劇」が問題としているのは、牛の頭数が牧草地が許容する限界頭数を超えた場合に生じる状況である。これは「宇宙船地球号」という概念を利用しながらローマクラブが問題提起した人間社会の成長・発展に対する地球資源の有限性問題と同じ論理的構造である。
すなわち、地球環境問題などで問題とされる地球資源の有限性問題は、大気や海などの地球資源が19世紀までの人間社会の「生産=消費」活動レベルでは「消費における競合性」が問題とはならなかったが、20世紀後半以降になり「消費における競合性」が問題となったということを意味している。

[参考図]資源エネルギー庁(2013)「世界のエネルギー消費量と人口の推移」『エネルギー白書』p.8 [pdf版]

2013html_1-1-1_001

 
[考察してみよう]
コモンズに該当する具体的対象としては、 地球レベルものから地域社会レベルのものまで多様なものが存在する。したがってコモンズとして捉えることができるすべての具体的対象に関して「コモンズの悲劇」が成立するわけではない。
それはどういうことなのかを具体例を挙げて説明しなさい。すなわち、「コモンズの悲劇」問題が成立しないようなコモンズの具体例を挙げるとともに、コモンズであるにも関わらずなぜ「コモンズの悲劇」問題が成立しないのかを説明しなさい。
 

2.公共財の公共経済学的定義 — 「消費における非-競合性(non-rivalrous)」と「フリーライダーの非-排除性(non-excludable)」という二つの特性を持つ財としての公共財
三省堂『大辞林』では、「公共」という用語は「おおやけのものとして共有すること」として定義されている。また岩波書店『広辞苑』第4版では、「公共財」という用語は「その便益を多くの個人が同時に享受でき、しかも対価の支払者だけに限定できないような財貨・サービス」として定義されている。公共財に関する後者の『広辞苑』第4版の定義は、公共財に関する公共経済学的定義に基づくものである。
公共財(public goods)は、公共経済学においては、「消費における非競合性」「フリーライダーの排除不能性」という二つの特性との関連で定義されている。
そのように定義されている主要な理由のうち、いくつかを下記に挙げる。
 
ポイント1. rivalrousという特性を持つ財に関しては、「利用者から料金を取ることが正当である」と考えられる。
rivalrousな財の利用は制限せざるを得ない(そうでないとコモンズの悲劇と類似の問題が発生する)が、そうした制限の手段の一つが料金の徴収である。首都高速道路の利用料を無料にすると混雑が極めて激しくなり、高速道路としての意味がなくなってしまう。excludable(フリーライダーを排除する)とすることで、すなわち、利用料を払った人だけが利用できるようにすることで、高速道路というgoodsがその本来的機能を果たすことができる。
 そのようにexcludableにできるgoodsに関しては、その提供を政府・自治体・非営利組織など公共的組織のみに限定する意味はあまりない。利用対価や販売代金を取ることができるそうしたgoodsに関しては、なるべく数多くの企業に提供させて、goodsの「質」、「提供可能な量」、「価格」などに関する自由競争をさせる方が社会的により好ましい、と一般には考えられている。

ポイント2. 上記とは逆にnon-rivalrousという特性を持つ財に関しては、財の維持・管理・再生産の費用が「一定数の顧客からの利用料金・販売代金でまかなうことができる」財[すなわち、一定以上の固定費はかかるが変動費がゼロに近い財]であれば、その一定数を超えた顧客・利用者から料金を取らないことも選択肢として考えられる。また財の維持・管理・再生産の費用がほぼゼロに近いような財[すなわち、固定費も変動費もほぼゼロに近い財]であれば、「free riderを排除せず、利用者から料金をまったく取らないことが正当である」と考えられる。
[考察してみよう]明治大学図書館も、その維持・管理・再生産の費用を一定数の学生からの授業料収入でまかなうことができる。そのため、rivalrousにならない範囲内で、free riderの利用を認めている。それは具体的にはどういうことなのかを考えてみよう。
 
ポイント3. free riderを排除できない(利用料金や販売代金を徴収することができない)non-excludableな財に関しては、営利企業による持続的提供は期待できない。非営利組織・政府・自治体など公共的組織に期待するほかない。
広告・宣伝など結果的に自社の売上拡大や営業利益増大につながる場合には、営利企業もnon-excludableな財を提供し続けることができる。しかしそうではなく、結果的にも自社の売上拡大や営業利益増大につながらないようなnon-excludableな財を自社の営業活動の一環として継続的に提供し続けることは一般的には困難である。

料金を支払わずに
利用しようとする
free riderを排除可能
(excludable)
料金を支払わずに
利用しようとする
free riderを排除困難
(non-excludable)
多数の人々による
同時利用が困難
(rivalrous)
私的財
(private goods)
common goods
多数の人々による
同時利用が可能
(non-rivalrous)
club goods 公共財
(public goods)
 
[考察してみよう]
授業では、rivalrousかつnon-excludableなgoods(common goods,Common-pool resource)の例を取り上げなかったが、英語版wikipedia「Common-pool resource」では下記のようにfish stocks, timber, coalが例として挙げられている。
(1) common goods(common-pool resource)に該当するgoodをどれか一つを取り上げて、「それがどのような意味でRivalrousかつNon-excludableな財(goods)とされているのか?」に関して説明をおこなうこと。
(2) 次に、自らがcommon goods(common-pool resource)に該当するものとして取り上げたgoodが、本当にrivalrousかつnon-excludableなgoodであるのかどうかに関して考察をおこなうこと。
 
excludable non-excludable
rivalrous private goods
food, clothing, cars,
parking spaces
common goods
fish stocks, timber, coal
non-rivalrous club goods
cinemas, private parks,
satellite television
public goods
free-to-air television, air,
national defense
[出典]英語版wikipedia「Common-pool resource」,理論的整合性を保つため、Common-pool resourceをcommon goodsとするなど、表現を一部訂正した。

 
3.club goodsの具体例
下記では、上記のポイント2で論じられている「一定以上の固定費はかかるが、変動費がゼロに近い財」という理論的定義に当てはまる具体的事例として、一定の範囲内でnon-rivalrousである(それゆえ一定の会員数に限定する必要がある)とともに、free riderの排除が法的・技術的に可能なexcludableであるclub goodsとしての、TV電波、BS(放送衛星)電波、CS(通信衛星)電波、携帯電波、公衆無線LAN電波などを利用したテレビ放送サービス、動画配信サービスを取り上げる。
 
4.消費における競合性(rivalry, rivalrousness)に関する複数の視点からの議論 — free rider排除の社会的妥当性
 
本日の授業では 「消費における競合性」(rivalrous)概念に関する、下記三つの主要論点の内の第1の論点を主として取り上げた。
 
論点1.「一定限度=許容限度内における消費の非競合性」と「一定限度=許容限度を超えた場合における消費の競合性」
論点2. 同一財における 「消費の非競合性」と「消費の競合性」という二つの特性の共在(利用法・利用場面の差異による特性の違い)
論点3. 「共時」的消費における競合性 vs 「通時」的消費における競合性

 
消費の競合性の相対性という第一の論点に関する理解が必要—「コモンズの悲劇」問題も利用者数が一定以上を超えた時に発生する問題である。一定数以下であれば、消費の競合は問題にならずsustainableな利用が可能である。
個々の座席で見れば、新幹線の指定席や自由席、および、図書館における座席などは、「ある人が利用している座席を他の人が利用できない」という意味のおいて排他的利用が問題となるが、利用者の全体的数が座席数全体に対して相対的に少ない場合には、「ある時間帯の新幹線の便全体、あるいは、図書館全体では、空いている席を必ず見つけて利用できる」という意味において、新幹線の着席利用、および、図書館の着席利用それ自体はrivalrousではない。
 
[考察してみよう]
日本語版ウィキペディア「非競合性」で非競合性を持つgoodsに位置づけられている「映画」、「図書館」についても、そうであるのはある一定の制約条件のもとにおいてであり、実際には競合性が問題となる場合もある。
それはどういうことなのかをわかりやすく説明しなさい。
 
5.free riderの排除可能性(excludability)に関する複数の視点からの議論 — Free rider排除の根拠および方法に関する法的議論(法的権利)、経済的議論(経済的合理性)、技術的議論(技術的可能性)[次回論じる予定の論点]
 
[関連復習事項]
1.スマホの製造メーカーが「無料」で利用できるGoogleのAndroid OS
 
2.公共財(public goods)と情報財(information goods)の共通集合としての公共的情報財(public information goods)
公共財(public goods)の定義と情報財(information goods)の定義および特性の両方を理解することが必要
 
3.情報財(information goods)の定義および特性
情報財を構成する2種類の財・・・「コンテンツ」系情報財と「プログラム」系情報財
情報財の特有性としての、「限界費用の低さ」と「私的占有の困難性」

 
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経営技術論 2016.04.28

 
[今回の事項]
1. product conceptの具体化としてのproduct designを規定している諸要因
product innovationにおけるproduct designの選択・決定を規定している要因としては下記のようなものがある。
 
(1) 「技術」的要因
a.旧世代製品のdominant designに起因する技術的経路依存性
先行技術との関係による技術的スイッチングコスト・技術的制約 — 東日本と西日本における電源周波数の違い、京王線と井の頭線の線路幅の違い、直通運転の技術的可能性
b.製品の形状・機能・性能などに起因する技術的制約
ダイヤル式電話機における数字配列が1,2,3, — ,9, 0というように、9の後に0が来るようになっている理由
 
(2) 技術に関わる「法」的要因および「社会制度」的要因
法律(乗物に対する道路交通法の規制など)・政令・法的規格(日本工業規格、日本農業規格などのde jure standard)・法的ガイドラインなどの法的規制や公共的規制に起因するもの
液体ミルク、セグウェイなどのproduct innovationの社会的普及の制約要因としての法
 
(3) 技術に関わる「身体」的要因および「社会」的要因
数多くの人間の身体的形状のあり方に起因する規定
  1. はさみ、急須、電車の自動読み取り機などは右利きの人向けのproduct designになっている
  2. エレベーターにおける車椅子利用者向けの押しボタン配列は横向き配列のproduct designになっている
なお、product designに関する下記のような問いも、「右利きの人の方が多い」という社会的要因によって規定されていると考えられる。
  1. 「ダイヤル式電話機における数字配列1,2,3, — ,9, 0はなぜ反時計回り配列のproduct designになっているのか?」
  2. 昔のTVにおけるダイヤル式チャンネル選択装置における数字配列1,2,3, — ,9,10,11,12は、なぜ時計回り配列のproduct designになっているのか?」
 
2. アッターバックのドミナント・デザイン論的視点からの考察 — 「固定期」市場におけるdominantなproduct designの固定性
固定期には、ある特定の製品セグメントでは、特定のproduct designが市場でdominantとなっている。dominant designが変化するのは、先行の成熟市場の創造的破壊(creative destruction)が起きている市場の「流動期」、すなわち、radicalなproduct innovationが起きている革命的な時期だけである。そうしたdominant designの変化として、製品の「世代」的変化としてのproduct innovationを論じることができる。
例えば電話製品では、ダイヤル式電話機からプッシュホン式電話機への世代交代というradical innovationの時期に、旧来の「円環状」配列から、現在の電話機型「長方形」配列(3列4段方式)へとdominant designが変化した。
そして授業中に説明したように、米国などなどでのダイヤル式電話機における「数字とアルファベット文字の同時配置」というproduct designに起因する歴史的経路依存性により、電話機では123が上で0が最下段に来る現在の配列というように電卓とは異なるdominant designが採用されたのである。
 
(1) 数字キー配列
数字キー配列に関しては、「電卓」型配列と「電話機」型配列という二つの異なるdominant designが共に使われている。視覚障がい者団体は、どちらか一方への統一を要望しているが、数字キー配列に関してそうしたuniversal design的対応は現在のところはまだ取られてはいない。
 これに対してアルファベット文字入力のための文字配列に関しては、製品セグメントによる違いはなく、ほとんどの製品でQWERTY配列が採用されている。例えば、タイプライター製品(19世紀に発明され20世紀中頃まで広く使われた製品)セグメント、大型コンピュータ製品(1950年代から社会的普及を開始した製品)セグメント、PC製品(1970年代中頃以降に製品市場が立ち上がった製品)セグメント、ローマ字かな入力変換方式の日本語ワープロ専用機製品(1980年代-1990年代末まで広く日本で使われた製品)セグメント、電子辞書製品セグメントなどで、QWERTY配列がdominant designとなり、広く一般に使われている。
 
[考察してみよう。]
課題1 「数字キー」配列と「アルファベット文字キー」配列とでは、product designに関するdominant designのあり方がこのように異なる理由は何かを説明しなさい。
 
 
(2) アルファベット文字キー配列
アルファベット文字キー配列に関して、「QWERTY配列が技術的に最も優れているわけではない。
 英文入力のためのアルファベット文字キー配列としては、「QWERTY配列よりもDVORAK配列の方がより優れている」と一般的に言われている。また、日本語のローマ字かな変換入力のためのアルファベット文字キー配列としては「QWERTY配列よりもNECのM式配列の方がより優れている」というのが一般的見解である。
 GoogleがGodanキーボード配列を最近になり提唱しているのも、QWERTY配列よりも技術的に優れたキーボード配列のproduct designにより、AppleのiPhonとのdifferentiationを考えているからである。
 
[考察してみよう。]
課題2  DVORAK配列やNECのM式配列といった、QWERTY配列よりも優れたproduct designが一定の注目を浴びながらも、なぜ製品市場でdominant designのQWERTY配列に打ち勝つことができなかったのかに関して、きちんとその根拠がわかるように説明しなさい。すなわちDVORAK配列、NECのM式配列、あるいはその他の配列のどれか一つを取り上げて具体的かつ理論的に説明しなさい。
 
課題3  GoogleのGodanキーボード配列に関して、「DVORAK配列やNECのM式配列といった過去のproduct designと同じく、QWERTY配列に打ち勝つことができないのか?それとも、過去のproduct designとは異なり、QWERTY配列に打ち勝つことができるのか?」ということを具体的かつ理論的に説明しなさい。
なおその際には、20世紀以前の製品はハードウェア型キーボードであったのに、スマホではソフトウェア型キーボードに変化していることを考慮に入れた上で考察を加えなさい。
 

godan2

[参考図]Godanキーボード配列
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product technology vs production technology

product technology vs production technology — 「今までにない製品」、「画期的新製品」を生み出す技術 vs 製品を製造する技術
「モノづくり企業にとっては、「サイエンス」と「テクノロジー」、これら二つの本質的価値を見極めたうえで、その融合を図ることが競争力の強化に極めて重要である。このことは、富士写真フィルムとのインタビューで特に感じたことである。/ここでいうサイエンスとは、いままでにないモノを生み出す技術である。テクノロジーとは、実際に応用する技術のことをさしている。/これを加工組立型製造業に当てはめてみれば、サイエンスはいままでにない素材や部品を開発する技術であり、テクノロジーは開発された素材・部品を加工.組み立てて製品にする技術ということができる。」日本能率協会編(2001)『競争優位をめざすモノづくり経営革新』日本能率協会マネジメントセンター、pp.40-41
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経営技術論 2016.04.21

[次回の授業内容]経営技術論 2016.04.28
 
[先週の復習と追加確認事項]
1. 経営における技術Technologyの意味 —- 技術革新のManagementの意義と必要性
(1) 経営技術論の対象領域としてのProductとProduction
a. Produceの派生語としてのProductおよびProduction
b. 相対的競争優位の重要な規定要因の一つとしての技術
d. 二種類の技術 — 既存技術と新規技術 — と技術革新
e. 科学的管理法 vs 経営技術論
 
(2) Innovationのタイプ分類(1) —- Product Innovation とProcess Innovation
a. Product Innovationに関する相対的区別の必要性 — 「新機能(New Function)を実現するInnovation」と「性能向上(Performance)を実現するInnovation」
b. Process Innovationの主たる二つの目的 — 「品質(Quality)向上」と「製造コスト低減」
c. Product Innovation とProcess Innovationの区別と連関を示す諸事例
 
(3) 製品に関する Function(機能)、Performance(性能)、Cost(費用)、Quality(品質)の区別と連関 — radical innovationとincremental innovationの相対的区別のための基本的視点
a. Function(機能)に関わる評価視点 — 「有る vs無い」、「多機能 vs 単機能」
b. Performance(性能)に関わる評価視点 — 「高いvs低い」、「顧客が必要とする最低性能 vs顧客が有意義と評価する最高性能」
c. Cost(費用)に関わる評価視点 — 「高い、低い」、「上限価格 vs 下限価格」
d. Quality(品質)に関わる評価視点 — 「高い、低い」、「上限品質 vs 下限品質」
e. Cost-Performance(コストパフォーマンス、費用対効果)に関わる評価視点 — 「高い、低い」
 
(4) Technology に対する Management の意義
a. 市場(Market)と技術(Technology)という二つの要素 — 市場分析(Market Analysis)/市場調査(Market Research)と同時に、技術分析(Technology Analysis)/技術調査(Technology Research)が重要
「技術の天才」の本田宗一郎と、「財務と経営の天才」の藤沢武夫—佐藤正明『ホンダ神話〈1〉本田宗一郎と藤沢武夫』
四宮正親(2006)「補佐役の企業家活動―盛田昭夫と藤沢武夫―」(日本の企業家活動シリーズNo.39)、法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
b. 利用技術・技術開発に関わる戦略的選択としての技術戦略に関わる技術分析(Technology Analysis)/技術調査(Technology Research) — 企業の戦略決定における技術的次元
 
(5) 技術的リーダーシップ戦略vs 技術的追随戦略
 
(6) 製品イノベーションを通じた相対的競争優位の追求法に関する、ポーター的視点からの分類
 
2.技術選択・技術統合としてのproduct design
佐野正博「生産管理」『経営学への扉』白桃書房,p.91の図5-1「イノベーション・ライフサイクル」
経営学への扉-p91
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経路依存性(path-dependency)現象 —- 過去の技術的選択による現在的制約

鉄道経営に関する経路依存性
過去の技術的選択が、企業経営の現在的あり方を制約している。鉄道経営に関する経路依存性に関しては次のような問いを考えてみれば良いであろう。

問1 東京都心部の地下鉄のうち、東京地下鉄株式会社(旧称:帝都高速度交通営団)が経営する東京メトロの銀座線・丸ノ内線および東京都交通局が経営する都営地下鉄の大江戸線を除くすべての路線で郊外鉄道との直通運転が実施されている。ではなぜ、銀座線・丸ノ内線及び大江戸線では郊外鉄道との直通運転が実施されていないのか?その理由を調べなさい。(なお2014年時点で東京圏の相直路線延長は約880kmで、東京圏の鉄道総延長1,520Kmの約36%を占めるまでになっている。)
問2 渋谷と吉祥寺を結ぶ京王井の頭線(12.7km)は渋谷が終点駅となっている。また渋谷と浅草を結ぶ営団地下鉄銀座線[1927年に浅草 – 上野間で営業を開始した日本で最初の地下鉄。現在の路線距離:14.3km]も渋谷が終点駅となっている。渋谷駅で京王井の頭線と、東京メトロ・銀座線が直通運転で結ばればとても便利と思われるが、直通運転の計画はない。それはなぜか?
問3 京王電鉄は、新宿で京王線と都営新宿線と直通運転を行っている。しかし京王高尾線は高尾駅でJRと直通運転していないし、都営新宿線はその終点の本八幡駅でJRと直通運転をしていない。それはなぜか?
1927年開業の銀座線の軌間(ゲージ)は、丸の内線と同じく1,435 mmである。これに対して、帝都電鉄株式会社が1933年に開業した井の頭線[1933年8月1日に渋谷駅 – 井の頭公園駅間を開業させ、1934年4月1日に吉祥寺駅まで全通させた]の軌間(ゲージ)は1,067mmである。井の頭線が小田急電鉄系の帝都電鉄の路線として開業したため、小田急電鉄の軌間と同じにされた。そうしたこともあり、戦時中から戦後しばらくは小田急小田原線と代田連絡線を介して繋がっていたが、同連絡線の廃止後は他路線と線路が繋がっておらず、独立した路線となっている。[帝都電鉄は、小田原急行鉄道(現、小田急電鉄の前身)を経営していた利光鶴松の傘下にあった。帝都電鉄は1940年に小田急に統合されている。1942年には小田急電鉄株式会社が京浜電気鉄道と共に東京横浜電鉄に合併し、東京急行電鉄株式会社が成立。小田急帝都線は東急井の頭線となった1944年には京王電気軌道株式会社も東京急行電鉄株式会社に合併されている。1947年12月に東京急行電鉄株式会社から京王帝都電鉄株式会社・小田急電鉄株式会社・京浜急行電鉄株式会社が分離することが決定され、1948年に京王線と井の頭線は京王帝都電鉄株式会社として東京急行電鉄株式会社(東急)から分離された。]
京王電気軌道株式会社が、1913年4月に笹塚駅 – 調布駅間の12.2キロの営業を開始した。この時の軌間が1,372 mm(馬車軌)であった。玉南電気鉄道株式会社が、1925年3月に府中駅 – 京王八王子駅間を営業開始した。この時の軌間が1,067 mmであった。その後、1926年12月1日に京王電気軌道が玉南電気鉄道を併合し、直通運転を可能とするため、軌間を1,067 mm から1,372 mm へ改軌した。(工事終了は1927年6月。新宿-京王八王子間の直通運転開始は1928年5月。)こうした改軌は、その後、都営浅草線および京浜急行電鉄への乗り入れを実施した京成電鉄が子会社の新京成電鉄と共に1959年に1,372 mmから1,435mmへの改軌を実施している。京王線も都営新宿線との直通運転計画に際して、1,372 mmから1435mmへの改軌を打診されたが、実行していない。
[関連参考資料]
  1. 東京都公文書館編(1989)『東京馬車鉄道j](都史紀要33)
  2. 青木栄一(2002)「3フィート6インチ・ゲージ採用についてのノート」『文化情報学:駿河台大学文化情報学部紀要』第9巻第1号
  3. 「井の頭線、消えた延伸計画と「日本一」の三鷹球場」日経電子版、2013年6月14日
  4. 杉山淳一(2012)「銀座線にも相互乗り入れ計画があった」マイナビニュースの連載:鉄道トリビア
  5. 国土交通省(2014)「東京圏の都市鉄道に係る答申のフォローアップ等について」平成26年度第1回(第10回)交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会 資料2-1
  6. 「東京圏における都市鉄道の現状と課題について(補足資料)」平成26年度第1回(第10回)交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会 参考資料1
  7. 国土交通省(2016)「速達性の向上の現状と今後の取組のあり方について」国土交通省 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会 第16回 配付資料4-2
  8. 国土交通省(2016)「シームレス化の現状と今後の取組のあり方について」国土交通省 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会 第16回 配付資料4-3
  9. 「国交省資料で見えてきた東京圏「次の新線」。JR羽田アクセス線と地下鉄品川線、豊住線は有力か。りんかい線・京葉線直通にも可能性」旅行総合研究所タビリス2016/01/21
  10. 松田康治(2001)「東京圏における相互直通運転の効果と課題」土木学会第56回年次学術講演会
  11. 家田仁(2005)「都市鉄道における軌間の異なる路線間の直通運転の可能性」鉄道整備等基調調査報告シンポジウム 第3回「活力ある暮らしを支える鉄道を目指して」
  12. 金子雄一郎・伊東誠(2007)「鉄道整備事業の事後評価手法に関する諸検討-実際の評価の経験を踏まえて-」『運輸政策研究』Vol.10 No.3
 
[参考資料]
医療制度に関する経路依存性
カテゴリー: 2016年度, 2016経営技術論, 授業メモ, 経営技術論, 経路依存性 | コメントする