<2018年度日本科学史学会シンポジウム>
歴史教育における科学史・技術史の教育的意義 開催趣旨

高大連携歴史教育研究会は、「細かい用語の暗記力を問う大学入試の影響で、高校の歴史教育が膨大な数の用語の説明・暗記に追われ、思考力を育成し歴史を学ぶ楽しさを実感させられる授業が行えない」という問題意識のもと、「ガリレオや坂本龍馬など、歴史を大きく動かしたわけではない人名などを削除すべき」などとする「歴史系用語精選の提案」(第一次)を2017年10月に発表した。
同提案に対しては、歴史的思考力の育成というその基本的目標には異論がないものの、その手段として用語数を半減させる(現行の世界史・日本史の教科書の各3400-3800語という用語数を世界史1835語、日本史1856語に絞り込む)ことに対して様々な疑問・懸念や反論が投げかけられた。
科学史・技術史の分野においても「ガリレオが高校の歴史教科書から消える」ということに対する疑問をはじめとして、同提案のままでは高校生における科学史・技術史に関わる知識や興味関心がこれまで以上に低下するのではないかという危惧・懸念が表明されている。
またその一方で、歴史的思考力の育成という視点から高校段階における科学史・技術史のより適切な体系化を図ること、すなわち、高校段階で科学や技術の歴史における何をどのように教えることがより適切なのかを明確化することの必要性も指摘されている。
高大連携歴史教育研究会の同提案に対して、科学史・技術史の分野から一定の問題提起をし、対案の作成を試みることは、科学史・技術史の教育的意義の新しい一面を明らかにすることでもある。
これまで高校教育の段階における科学史・技術史の教育的意義は科学教育・理科教育との関連で論じられることが主であった。例えば科学的知識の歴史的形成プロセスを理解することは、科学的精神・科学的自然観(科学的なものの見方・考え方)の涵養や、物理・化学・生物・地学などの内容的理解に資するといったことが現在でも広く共通了解になっている。
 しかし科学史・技術史も政治史や美術史などと同じく歴史学の一領域(分野)として位置づけることができるとすれば、歴史教育との関連において科学史・技術史の意義を論じること、すなわち、「歴史教育の視点から見て、科学や技術の歴史における何をどのように取り上げることが有用かつ適切であるのか?」を明確にすることも必要かつ重要である。
 本シンポジウムは、兵藤友博会員の司会のもと、最初に斎藤憲会長から開催趣旨説明を含む10分程度の挨拶を頂き、その後、各パネリストからの15-20分程度の報告の後、フロアから意見・質問を広く受け付ける。
 
 
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