電気自動車に関するイノベーションの歴史 -- 20世紀初頭における電気自動車

考察のための前提的視点
 
20世紀初頭における電気自動車
1. 「FordとEdisonが電気自動車を買っている」という1914年3月28日付けThe Saturday Evening Postに出されたAnderson Electric Car Companyの広告
下記の広告によれば、Detroit Electricという名称の電気自動車[製造メーカーAnderson Electric Car Company]をFordとEdisonがそれぞれ3台購入している。下図の左側の写真がFord、右側の写真がEdisonである。
1914-03-28_saturday_evening_post_ford_edison
[引用元]Edwin Black(2006),Internal Combustion: How Corporations and Governments Addicted the World to Oil and Derailed the Alternatives, St. Martin’s Press,p.200
 
関連参考資料
 
 
2. 20世紀初頭における電気自動車の広告
Electric Vehicle社は、「1回の充電で40マイル(約64km)走行できること」や、電気自動車のクリーンさを強調した以下のような広告を掲載している。
american_dreams-p33-ad
[出典]Kenneth M. Morris, Marc Robinson, Richard Kroll(1991) American Dreams: One Hundred Years of Business Ideas and Innovation from the Wall Street Journal, Harry N Abrams,p.33

electric_vehicle_ad_columbia-cleaness
[出典]”Photos of Columbia Cars being built by Electric Vehicle Company of Hartford, Connecticut”
http://www.kcstudio.com/col00.html

 
3. 街頭での公衆充電装置(Public Electric-Vehicle-Charging Station) Electrant(1899年発明)の1914年型モデル
電気自動車がガソリン自動車に取って代わることができるかどうかに関して、ガソリン自動車=ガソリンスタンド=石油産業というシステムと、電気自動車=電気スタンド(充電装置)=電力産業というシステムとの相対的比較が重要である。ガソリン自動車に対して走行距離が相対的に短い電気自動車の場合には、ガソリンスタンドよりも相対的に数多くの電気スタンドを必要とする。
 ただしガソリンスタンドのように大量のガソリンを貯えておく貯蔵タンクや、タンクローリーによるガソリンスタンドへの定期的なガソリン補給の手間などを必要とせず、送電線からの電力の連続的供給によっていわば在庫ゼロで顧客が必要とする分を必要なだけ供給することができる。また電気プラグをコンセントに指す方式など充電システムの方がガソリン給油システムに比べて相対的に簡便で安全性が高いので、安全性確保のための初期設備投資額もメインテナンス費用もガソリンスタンドに比べて電気スタンドの方が低いと考えられる。
 単純化して言えば、電気コンセントさえあればどこでも簡単に充電できる。
electrant-electrical_world_vol65_1915-p179
[図の出典]”New Apparatus and Appliances” Electrical World,Vol.65 No.3(January 16,1915),p.179
https://archive.org/details/electricalworld65newyPDF版のp.199/1764
 
なお上記のような公衆充電装置は、現代イギリスでも実際に存在するが、電気自動車の社会的普及の遅れもあり、あまり利用されておらず、その維持コストの高さが問題とされている。
itvlondon_on_vimeo-2013 上記記事では、879の充電ポストの内、65%が使用されておらず、574の充電ポストのコストとして税金が7,343ポンド(1ポンド=136円とすると、約100万円)がかかるとされている。
 
 
20世紀初頭における電気自動車での、1回充電で走行可能距離に関する記録
下記WEB記事によれば、Detroit Electricは1914年に1回の充電で241マイル(約388km)を走行するという新記録を打ち立てた、との記録がある。
“The Detroit Electric”
http://www.detroitelectric.org/index.htm
 
 
20世紀初頭の「電気点火」式自動車関連参考資料
 
20世紀初頭の電気自動車関連参考資料
[関連WEBサイト]
Electric Vehicle社による電気自動車「Columbia」に関するカタログ写真
 
電気自動車 Detroit に関する1908年~1920年頃までの様々な歴史的記事、および、American Cars、1805-1942の中のDETROIT Electric Detroit, Michigan 1907-1939 Standard Catalogを画像で見ることができる。
 
[電気自動車に関する20世紀初頭の雑誌記事]
Lloyd, McAllister R. (1914) “Early History of the ElectricVehicle : First Motive and Impulse to Construct Electrics as far Back as 1886” Electric vehicles, Vol.5, No.6 (Dec. 1914), pp.233-235
 

Ayton、F., (1920) “Electric Vehicles for Brewery Service,” Journal of The Institute of Brewing.Volume 26, Issue 3
F. Ayton, M.I.M.E., Chairman and Hon. Secretary, Electric Vehicle Committee of Great Britain.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/j.2050-0416.1920.tb02440.x/pdf

 
[20世紀初頭の電気自動車関連雑誌の内でダウンロード可能な資料]
Electric vehicles : A Magazine For The Electric Motor Car User, Electricity Magazine Corp., Chicago
20世紀初頭の上記雑誌に関して、下記の号などを、Internet Archiveより全文ダウンロードできる。

[参考情報]hathitrust.orgにおいて、”Electric vehicles”でタイトル検索した結果の中には、1890年代の新聞”Electrical Age”などが”Electric vehicles”というでタイトルで表示されているので注意が必要である。またElectric vehicles, Vol.6-7(1915)Vol.7-8(1916)Vol.10(1917), Vol.10(1917)[Vol.10-11と表示されているのは誤りで、Vol.10しか収録されていない]は、カラー表紙がグレー表示になっている。
なおVol.7-8(1916)はカラー表示である。

 
 
[20世紀初頭の自動車雑誌の内でダウンロード可能な資料 — 電気自動車以外も含む自動車一般の雑誌]
 
 
 
電気自動車の歴史に関するビデオ
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