情報公共論 2016.05.17

[前回の授業内容]情報公共論2016.05.10
[次回の授業内容]情報公共論2016.05.24
 
誰でも自由に無料で利用できるものとしてのcommons(共有地、共有物)に関する「コモンズの悲劇」問題
  1. 利用者が制限できなければ、「許容限度を超えた多数の人々の同時利用」や「ほかの人の迷惑を顧みない自分勝手な利用の横行」といった問題が生じる可能性がある。
  2. free riderの利用を認めると、commonsの維持管理などの費用の強制的徴収ができないため、commonsとしての機能維持が困難になる可能性がある。
 
free riderの排除可能性(excludability)に関する基本的ポイント議論
free riderの排除可能性(excludability)はgoodsの自然的性質の問題ではない。
教育サービスに関しては私学教育サービスに見られるようにfree riderを排除可能である。それゆえ公教育においてもfree riderを排除可能ではあるが、実際には排除してはいない。それゆえ私学教育はexcludableに、公教育はnon-excludableに位置づけられることになる。
同じようにB-CASカードを用いた顧客管理が可能なデジタル放送サービスは、WOWOW放送のようにfree riderを排除可能である。それゆえNHK放送においてもfree riderを排除可能ではあるが、実際には排除してはいない。それゆえWOWOW放送はexcludableに、NHK放送はnon-excludableに位置づけられることになる。

NHK放送において技術的にはfree riderの排除が可能なことは、BSデジタル受信機の利用開始から30日後に受信設備の設置確認メッセージが表示され、そのメッセージの消去には利用者の氏名、住所などの登録が必要になることに示されている。なおNHKはその情報を放送受信料の契約業務に利用している。
[関連WEBページ]
NHK受信料の窓口
NHK受信料の金額
NHKオンライン > 受信料の窓口トップ > BSデジタル放送 メッセージ消去のお申込み
NHK「BSデジタル放送メッセージ消去」

 
論点1:non-excludableなgoodsに関わる基本的論点
料金を支払わずに利用しようとするフリーライダーを排除困難(non-excludable)ではあるが、社会的に必要とされるようなgoodsで、なおかつ、その維持・管理・再生産・提供のための費用がかかるgoodsの場合には、何らかの形で資金・人手などを確保する必要がある。
 
論点2:rivalrousなgoodsに関わる基本的論点
多数の人々の同時利用が困難な場合には、利用できる人と利用できない人を分けることが必要になる。その区別には、必要度に応じた区別、利用対価の支払いの有無による区別など多様な方法がある。
 
論点3:法的および技術的にexcludableであることと、実際の場面でexclusionすることの区別
フリーライダーを技術的あるいは法的には排除可能であるが、そのことがどのような社会的意味を持つのかを慎重に検討する必要がある。例えば、一般的なテレビ放送離れの社会的状況の中での、NHK受信料問題の意味を考える必要がある。
 
non-excludableな公共サービスの典型例としての、道路、軍事、警察、消防、救急、灯台
これらの公共サービスは良好な社会生活のために必要不可欠であると同時にnon-excludableであるから(あるいは、non-excludableであるべきであるから)、これらのサービスは税金で賄わることになる。
またこれらの公共サービスの多くはnon-rivalrousであるから(あるいは、公共の福祉・安全の確保という観点から考えて社会的にnon-rivalrousの状態とすべきであるから)、これらのサービスは税金で賄わることになる。
 
[考察してみよう。]
non-excludableな公共サービスとして一般に挙げれているもの(例えば、道路、軍事、警察、消防、救急、灯台)の内で、「公共の福祉・安全の確保という観点から考えて社会的にnon-rivalrousの状態とすべきである」にも関わらず、現在の日本の公共投資・税金投入のあり方の結果として、実際にはrivalrousの状態に置かれているものをすべて挙げるとともに、「現にどのようになっているのか?」「現状のままで良いのか?現状のままで仕方ないのか?将来的には変えるべきなのか?」を考察しなさい。
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