技術戦略論2015.10.8

[前回の授業内容]技術戦略論2015.10.1
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1.「同一の技術をcore technology(持続的競争優位確保のための中核的技術)とした、異なる製品セグメントに属する製品
燃料電池技術による技術イノベーション —- 燃料電池技術をcore technologyとした各種の既存製品および新製品開発
  1. ガス会社のエネファーム(燃料電池を利用した給湯と発電)製品 —電力会社の「オール電化」戦略に対抗したガス会社の「オールガス化」戦略に基づく製品開発
  2. トヨタやホンダの燃料電池自動車
  3. 戸田建設やヤマハ発動機の燃料電池船
  4. 豊田自動織機の燃料電池を使ったフォークリフト
  5. 日野自動車の燃料電池バス
[考察してみよう]
燃料電池技術を用いた各種製品に関する下記のような記事などを参考にしながら、「同一の技術をcore technology(持続的競争優位確保のための中核的技術)としながら、どのように異なる製品セグメントに属する新製品が開発されているのか?」という事例を燃料電池技術以外で挙げなさい。
  1. 日本経済新聞(2015)「戸田建設やヤマハ発、燃料電池船開発 今夏に試験運航 」『日本経済新聞』2015/6/16朝刊
  2. 日本経済新聞(2015)「戸田建設、国内初の燃料電池船完成」日本経済新聞>速報>企業>記事、2015/8/5 19:43
  3. 香取啓介(2015)「燃料電池船、走り出す 国内初、実証実験スタート」朝日新聞DIGITAL,2015年8月8日20時29分
  4. 「「水素革命」船や鉄道に — 戸田建設など、排ガスなく静か、鉄道総研、架線要らず」『日本産業新聞』2015/10/01の一面記事
  5. 陰山遼将(2015)「日本初の燃料電池船が完成、船も水素でCO2フリーに」ITメディア、スマートジャパン、2015年8月10日
  6. 「トヨタ自動車株式会社/日野自動車株式会社のFCHV-BUS」水素・燃料電池実証プロジェクト パンフレット
  7. 日野自動車(2014)「日野自動車のFCバスへの取組みと課題」2014/03/26
  8. 小川賢一ほか(2010)「燃料電池車両の開発」『RRR』2010年7月号(特集:鉄道の将来に向けた研究開発-環境と調和した鉄道/低コストの鉄道)
  9. 熊谷則道(2001)”Development of Fuel Cell Vehicles”(燃料電池車両の開発)Quarterly Report of RTRI, 42(3), p.120
  10. 豊田自動織機(2013)「豊田自動織機、燃料電池フォークリフトを開発— 北九州市にて実証実験を開始」2013年2月7日プレスリリース
  11. 豊田自動織機 技術・開発本部 開発第二部 一条恒(2014)「燃料電池(FC)フォークリフトの取組について」
  12. 豊田自動織機(2014)「燃料電池(FC)フォークリフトの取組について」2014年3月26日
    日野自動車
2.「製品を構成するcore technology(持続的競争優位確保のための中核的技術)の複数性に起因する、異なるProduct designの各週製品
ex.1 自動車エンジンに関する既存技術を利用した環境対応製品
自動車関連の既存Technology — 既存技術としてのガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、電動モーター、二次電池(充電池)
走行時のCO2排出量やNOx排出量をゼロまたは従来よりもかなり低減した自動車製品に対するMarket needsの存在
既存技術と既存市場ニーズに基づくProduct Concept
Product Concept B>「走行時のCO2排出量やNOx排出量を既存製品よりも低減させた上で、走行可能距離が既存製品と変わらない」という製品コンセプト
製品コンセプトの具体化としてのProduct Design
Product Design B-1>「ハイブリッド」自動車
a.充電スタンドを利用できない「ハイブリッド」自動車(HV)
b.充電スタンドを利用できる「ハイブリッド」自動車(PHV)
Product Design B-2>「ガソリン・エンジン」自動車のincremental innovation
Product Design B-3>「ディーゼル・エンジン」自動車のincremental innovation

 

ex.2 ウエアラブル製品
アッターバックのドミナントデザイン論などで主張されているように、市場形成期には多種多様なproduct designの製品が登場することが多い。下記資料に示されているように、ウエアラブル製品市場もそうである。
  1. 2015.10.1配付のウエアラブル端末に関する参考資料
  2. 佐野正博(2015)「ウェアラブル端末」佐野授業メモ
  3. 佐野正博(2015)「ウェアラブル端末-記事分類に関する解答例」佐野授業メモ
3.「新結合」的イノベーション — 既存技術に基づく部品・モジュールの「新結合」的設計による新製品開発
 技術イノベーションとビジネスイノベーションの区別の根拠の一つは、新技術開発抜きに新製品開発が可能だということにある。
 製品が複数の部品・モジュールから構成されているということは、既存技術に基づく部品・モジュールの組み合わせや結合の仕方を新しくすることで新製品を生み出せることを意味する。シュンペーターの新結合論はまさにそうした点を突いたものである。
 茶運び人形や弓曳き童子などのからくり人形は、画期的な製品イノベーションとして位置づけることができる機械的製品であるが、ぜんまい、歯車、カム、レバー、棒てんぷ、糸など既存技術に基づく部品で構成されている。江戸時代末期の田中久重[芝浦製作所(後の東芝の重電部門)の創業者、からくり儀右衛門とも呼ばれる]の万年時計も同じく既存技術に基づく部品で構成されている。
 既存技術に基づく部品をそれまでにない新しい設計(design)で結び合わせることにより、それまでにない新しい製品を生み出すことができるのである。
 ソニーのカセット・ウォークマンという「新製品」も、既存のトランジスタ技術、小型カセットテープレコーダ技術に基づく部品・モジュールで開発された。そうであるからこそカセット・ウォークマンは製品開発開始決定からたった4ヶ月で製品販売開始にこぎ着けることができたのである。
 
 
[関連参考動画]
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