情報公共論2015.06.23

[前回の授業内容]情報公共論2015.06.16
2015.06.16の配付資料
[次回の授業内容]情報公共論2015.06.30
 
[今回の論点]
1.レポート・論文における剽窃(盗用)行為をめぐる大学における対応
「レポート・論文における剽窃(盗用)とは何なのか?」「レポート・論文における剽窃(盗用)の事例にはどのようなものがあるのか?」「レポート・論文における剽窃(盗用)はなぜ不適切なのか?」「レポート・論文における剽窃(盗用)に対する社会・大学における最近の対応はどのようになっているのか?」を考えてみよう。
 
[参考資料]
 
2.著作物の著作物性について
(1) 日本における著作権保護の対象となる著作物であるための要件=著作物性
著作権法2条1項1号の規定における著作物の規定
a.「思想又は感情」を
b.「創作的」に
c.「表現」したもの
d.「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
 
上記の定義におけるaの規定は、著作権保護の対象となるのは「思想や感情の表現」であり、「単なる事実やデータ」は著作権保護の対象とならない、ということを意味している。
上記の定義におけるbの規定は、著作権保護の対象となるのは「著作者自らが創り上げたもの」であり、「他社の著作物の単なる模倣やcopy」は著作権保護の対象とならない、ということを意味している。
上記の定義におけるCの規定は、著作権保護の対象となるのは「表現」であり、「アイデア」は著作権保護の対象とならない、ということを意味している。「アイデア」の法的保護に関わる権利は、特許権である。
上記の定義におけるdの規定は、著作権保護の対象となるのは「文芸、学術、美術又は音楽に関わるもの」であり、「それ以外の著作物」は著作権保護の対象とならない、ということを意味している。そのため、プログラム・ソフトウェアなど情報財が著作権保護の対象となるのかどうかは歴史的に大きな問題であった。
 
[参考資料]
 
(2) 創作性=独創性(originality) vs 創造性(creativity)
「表現」の「起源」(origin)が自分にあること、すんわち、「独」りで「創」ることとしての、独創性(originality)
辞書的定義もそうであるが、日常的用語法における「独創性」「独創的」という単語には、創造性(creativity)や新規性・新奇性(novelty)という要素も含んでいる。これは、「自分独りで創ればその創造の成果はこれまでにないものになるはずである」という期待、あるいは、「意味ある創造行為は自分独りでこれまでにない新奇なものを創ることである」という発想が一般的だからである。
しかし情報公共論の授業では、「独りで創ること」「創作のoriginが自分にあること」というoriginalityの意味で独創性という単語を用いるので注意すること。
 
(3) 有意味な自然科学的実験における、実験「行為」の創作性=独創性(originality)、実験「行為」の新奇性(novelty)、実験「結果」の創造性(creativity)や新奇性(novelty)という三者の区別
originalityのある実験「行為」であっても、同一の対象に対する同一の手続き(同一のやり方)でなされた実験研究によって生み出される成果は同一のものになる。originalityがある複数の研究が同一の成果を生み出す。
客観的で正当な実験研究という創造的行為の結果は、コピペ行為のないまったくのoriginalな研究であるにも関わらず、まったく同一になる。逆に、まったく同一の結果が生み出されなければ科学的におかしいということになる。(科学的実験の必須的要件としての、再現可能性)
 
(4)著作権は「表現」(expression)に対する知的財産権であるのに対して、特許権は「アイデア」(idea)に対する知的財産権である
表現(expression)に対する法的保護の要件は、originalityだけである。creativityのない表現(expression)であっても、noveltyのない表現(expression)であっても、法的には著作権という権利が作成と同時に与えられる。

これに対して、特許権は、申請主義による法的権利であり、originalityだけでなく、creativityやnoveltyが必要とされる。
 

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