情報公共論2014.05.27

[前回の授業内容]情報公共論 2014.05.20
[次回の授業内容]情報公共論 2014.06.03
 
[配布資料]
[今週の授業内容]
1.コピペに関する法的問題および倫理的問題
O氏は自身の博士論文のpp.1-20において、NIH(National Institute of Health)の下記WEBページからの不適切なコピペをおこなっている、という趣旨の指摘がなされている。
授業では「http://difff.jp/dev/obokata_copypaste.htmlに示されているようなコピペが不適切であるのはなぜなのか?」という問題を論じた。
 
法律的問題としては、下記のような点で不適切である。
1) 氏名表示権および同一性保持権などといった著作者人格権の侵害
2) 法的に適切な引用として認めれる条件の侵害
 
倫理的問題としては、著作物性(authorship)などとの関連でその不適切性が問題となる。
科学者は”publish or perish”という社会的環境下で科学活動をおこなっており、論文などの業績に評価されている。そうした評価の前提として、評価対象となる論文は自らが執筆したものであることが求められる。
そしてその際に、自らが著作者として当該論文を執筆したこと、すなわち、自らの著作物性(authorship)が他者に明確に分かるように執筆することが要求されている。
そのため論文の中で他者の著作物を利用する場合には、自己の著作物である部分と、他者の著作物である部分とを明確に分けて示すことが法的にだけでなく社会倫理的にも強く求められている。
 
2.原則として法的に禁止されている「無断利用」 vs 例外的に許されている「無断利用」
 著作権という権利で保護された著作物は、知的財産である。それゆえ他者の知的財産である著作物を著作権者に無断で利用することは法的には原則として許されていない。
 ただし他者の著作物を無断で利用する行為すべてが社会的に許されないというわけではない。公益増進という観点から、一定の条件を満たせば、他者の著作物を無断かつ無償で利用することが社会的に許されている。
 このことに関して、文化庁長官官房著作権課(2013)『著作権テキスト 平成25年度』は「8.著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合」の冒頭で次のように書いている。
「「土地所有権」について「土地収用法」という法律があったり,「言論の自由」が保障されていても「名誉毀損」が許されないように,一般に「権利」というものは絶対的なものではなく,「公共の福祉」や「他人の別の権利」との関係で,「制限」や「例外」が設けられる場合があります。/著作権の場合も,著作権法の中に(条約によって許される範囲内で)「権利制限規定」と呼ばれる「例外規定」が数多く置かれ,一定の場合には,例外的に権利者の了解を得ずに著作物等を無断で利用できることとされています。/・・・教育や福祉など,「公益」のための仕事をしている方々は,こうした例外規定の適用を受ける場面が多くなります。ところで,通常「公益」を実現するための「費用」は国民全体の負担(税金)でまかなわれますが,著作権の制限の場合はその「費用」を「権利者個人」に負わせています。このことを十分に認識しておく必要があります。「いいことをしているのだから,無断で利用できて当然」などと思ってはなりません。」p.59

 

3.社会的に許されない「コピペ」 vs 社会的に許されている「コピペ」
 他者の著作物を「コピペ」して自らの著作物の中で無断利用することは原則としては許されないが、下記のような条件を満たせば例外的に無断利用が許されている。
1 すでに公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること
3 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
6 引用を行う「必然性」があること
7 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
[出典]文化庁長官官房著作権課(2013)『著作権テキスト 平成25年度』, p.77

 

[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
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情報公共論 2014.06.03

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