情報公共論 2014.04.29

[前回の授業内容]情報公共論 2014.04.22
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.13

 

[配布資料]
[今週の授業内容]
1.ミニテスト
問1 『広辞苑』第六版では「公有」に関して「国家または公共団体の所有」というように定義している。そしてなおかつ、『広辞苑』第六版では、公共団体とは、「国により一定の行政を行うことを存立目的とすると定められた法人。一般に、目的達成に必要な範囲で公権力の行使が認められ、国の特別の監督の下に立つ。地域的統治団体たる地方公共団体、社団的性格の公共組合、財団的性格の営造物法人(公社・公団・事業団の類)がある。行政法人。」と定義されている。こうした辞書定義の不十分性について、先週の授業内容に基づいて情報公共論的視点から論じなさい。

問2 NHKのテレビ放送(地上波デジタル放送、衛星放送)は、公共経済学的な意味におけるnon-excludabilityという性格を持つと言えるかどうかを論じなさい。
 

2.先週の復習プラスアルファ
public/privateの区分に関する複数のアプローチの一つとしての「所有」視点アプローチの問題
「誰かのモノ」に関するpublic vs private
個人、私企業など所有主体がprivateであることによる「私有」物
 vs
国・政府・地方自治体・独立行政法人・国立大学法人など所有主体がpublicであることによる「公有」物
ex.「国または地方公共団体が所有する公共の用に供されている海岸の土地」としての公共海岸[海岸法の第2条の2]
 

「誰のモノでもないモノ」に関するpublic vs private —- 私有物にできるモノとできないモノがある

「公水」vs「私水」

宮﨑淳(2010)「水資源は誰のモノ?-水法の観点から」
自らの所有地に湧き出ている水や、自らの所有地の井戸水としての地下水は私有物として取り扱われる(所有者以外は利用できない、「××の名水」の素材としての地下水)
海洋深層水(参考資料:酒匂敏次「海洋深層水利用研究の現状と未来」日経サイエンス
河川の水に対する利水権(「誰のモノでもないモノ」を一定範囲内で私的に利用できる権利)

河川法の第2条の第1項によれば、「河川は、公共用物であって、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行われなければならない」
 

ローマ法の考えでは水は「万民の共有物」である(それゆえ利用権は成立しても私的な所有権は成立しない)
日本の1890年制定の旧民法の財産編25条の条文「公共物とは何人の所有にも属することを得ずして総ての人の使用することを得るもの謂う 例えば空気、光線、流水、太洋のごとし」
 

「公海」vs「領海」
 

3.NHK放送の公共性に関する公共経済学的視点からのアプローチ
(1)放送電波に関する公共経済学的視点からの理解 — 放送電波の二重性(「供給者」視点と「視聴者」視点)
「供給者」視点 —- 事業の前提となるリソースのrivalrous性
「視聴者」視点 —- 視聴行為に関するnon-rivalrous性とnon-excluable性
 
(2)放送事業に関する公共経済学的視点からの理解 — 放送事業の二重性(「供給者」視点と「視聴者」視点)
Public goodsの定義から見たNHK放送番組コンテンツ

要件A.Non-rivalrous性(非-競合性)

放送電波は、「事業者」視点から見ると、rivalrous
    ↓
利用可能な電波は有限
有限な資源としての電波、携帯電話用電波のプラチナバンドとしての70MHz帯、900MHz帯
[参考資料]佐野正弘(2012)「もう1つのプラチナバンド“700MHz帯”の行方はいかに?」日経トレンディ2012年07月04日
    ↓
電波の利用は免許制で、免許を受けた私企業はある電波帯を独占的に利用できる
同一電波帯を同時に利用できる事業者は一社に限定される。同一の電波帯に二つの事業者が同時に放送することは混信を招くためダメである。
    ↓

電波利用料、電波オークション

放送電波は、「視聴者」視点から見ると、non-rivalrous
    ↓
何千万人が同時に見てもまったく競合は生じない
一方向的な伝達のための無線という技術的手段=放送電波の特殊性

要件B.Non-excludabe性(非-排除性)
NHKの「地上波デジタル放送」「衛星放送」
技術的には、「誰でも無料で視聴することができる」ように設計されているという意味でnon-excludable
WOWOWなどがそうしているように、B-CASカードの情報を利用することで、freeriderを排除するシステムにすることは技術的には可能である。しかしながら、NHKという「公共」放送局、および、日本テレビやフジテレビなどといった「民間」放送局は、地上波デジタル放送のすべて、および、衛星放送のほとんどにおいてfreeriderを排除しないシステムを採用している
法的には、「誰でも無料で視聴することができる」ような契約になっているという意味でnon-excludable

 

[さらに進んで調べるための参考資料・データ]
[次回の授業内容]情報公共論 2014.05.13
 
カテゴリー: 2014年度, 2014情報公共論, 情報公共論, 授業メモ パーマリンク