経営技術論2014.06.06

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[次回の授業内容]経営技術論2014.06.20

[授業配付資料]
[授業参考資料]
  1. 「記者歴29カ月の技術再発見」『日経バイト』2004年9月号,p.109
    「日本語入力にはさまざまな方式があるが,1977年当時神田氏が注目した入力方式は三つあった。漢字一文字につきカタカナ2文字を対応させて入力するカナ2タッチ入力(連想式),文字の数だけキーを並べて目的の文字を選んでいくペンタッチ入力,プログラムで仮名を漢字に変換するかな漢字変換である。最初の二つはカタカナの割り当てや文字の場所を覚えなければ効率が上がらず,専門のオペレータでなければ使いこなせなかった。「自分で使ってみたところ,かな漢字変換方式以外は使えないと感じた。当時考えられていたかな漢字変換システムは,一度仮名をすべて打ち込んでから変換するバッチ処理だったので誤変換が多くて怪しいと思われていた。だがこれを短い区切りで対話的に変換できるようにすれば将来性があると思った」。
     日本語入力に適したキーボードも考えた。一般的にはQWERTY配列に仮名を割り当てたJISカナキーボードでカナを入力するか,アルファベットを使ってローマ字入力するものと考えられていた。神田氏はこのような既存の方法にとらわれず,本当に良いと思われる入力方法を探った。「キー入力時の指の使い方を調べてみたら,親指以外の4本のうちどれか2本で同時に打つのは難しかった。親指とどれかの指であれば同時に打っても自然だった」。文字を配置したキーが10文字×3列で30個,右の親指と左の親指それぞれでシフトキーを押すモードとシフトキーを押さないモードの3通りがあるので90文字分を割り当てられた。これを「親指シフトキーボード」と名づけた。

  2. 俵万智(2003)「OASYSからMacへ-短歌の配列を決めるのに 便利そうと思ったのが、 始めるきっかけでした」『日経パソコン』2003年7月21日号,p.244
    最初は、富士通の親指シフト方式キーボードを利用。電子メールの開始をきっかけにQwerty配列式キーボードに転向。

  3. 増田忠(2003)「いちから始めるタッチタイピング 【第6回】一文字一打の快感を味わう!」『日経パソコン』2003年3月17日号,pp.220-221
    本稿では下記のように、日本語ワープロ専用機の時代には、日本語入力に関して技術的により高性能なキーボード配列が数多く「発明」されたにも関わらず、人々はなぜ「入力方式に対してだけ、どうしてこんなに保守的なのか!」ということを問題にしている。

     パソコンやワープロ専用機が売り出されてから、非能率な日本語入力の状況に対して「日本を救おう!」と頑張る方が数多く現れました。筆者が参加していた情報処理学会のヒューマンインタフェース研究会でも、毎回のように入力方式の研究が発表された時代がありました。今は、PDAや携帯電話の分野が似た状況になっています。
     多くの入力方式が提案されたにもかかわらず、パソコンはQWERTY配列によるローマ字入力、携帯はマルチタッピング入力(例えば「う」を入力するのに「1」キーを3回押す)の天下です。この状況はなかなか変わりそうにありません。
     入力方式開発者たちは「せっかく日本語入力の非生産性を救おうと研究開発をしたのに、だれも注目しない」と怒っています。
    ハードやソフトは必要以上に進化し、変わり続け、そのたびにユーザーは唯々諾々と受け入れています。なのに、入力方式に対してだけ、どうしてこんなに保守的なのか! 研究開発の意味がない! このままでは、高齢化が進む入力方式開発者たちが浮かばれない!

    富士通が高見山関を起用して親指シフトキーボードを、NECが林真理子さんを起用してM式キーボードを派手に宣伝していた時代がありました(右上の図)。どちらも大企業ですから、膨大な資金を投じて独自の入力方式を開発し、日本語入力に苦しむ日本人を救おうとしたのでしょう。もっとも本当に苦しんでいたとの報告はありませんでしたが…。
    一方、ローマ字入力には旗を振る教祖が存在しませんでした。教祖がいると、大衆側には好き嫌いが出ます。大衆は教祖のいないローマ字入力への帰依を深めていきました。
     タッチタイピングに無関心であれば、入力方式に関心が持てるわけがありません。そこを、開発者たちは読み違えていたのだと思います。タッチタイピングができるパソコンユーザーは10%内外というのが業界筋の一致した意見です。

  4. 「(日曜ナントカ学2)仮名入力「携帯化」の予感 パソコンのキーボード」『朝日新聞』2008年4月27日朝刊
    現代でも文筆業者や司法関係者など、長い文章を書くことの多い「プロ」には親指シフト方式配列キーボードの利用者が多いことを紹介した新聞記事。ただし楽天リサーチによれば、パソコンで文章を書く人の84%がQwerty配列キーボードでローマ字入力をしている。

  5. 八幡勇一(2004)「八幡勇一のキーボード論 後編 使い勝手改善に向け増えるべき選択肢」『日経バイト』2004年4月号,pp93-98
    様々なキーボード配列を紹介
    「八幡勇一(2004)「八幡勇一のキーボード論 【前編】 キー配列に凝縮されたコンピュータの歴史」『日経バイト』2004年3月号,pp85~90も参考になる。ただし同記事における「タイピング・スピードが高速になると印字ヘッドが交差してしまうという機械部分の問題から,あまりタイピング速度が上がらないQWERTY配列に収束していったと言われている。」という部分に関しては、安岡孝一(2005)「QWERTY配列再考」『情報管理』Vol.48 No.2,pp.115-118安岡孝一;安岡素子(2008)『キーボード配列QWERTYの謎』NTT出版などに書かれているように、間違っていると言われている。

  6. 文字入力のみに特化したプロの入力方法 — 「漢字を1字ずつ、2つのキーの組み合わせで入力する」方式を採用し、1時間に約4000文字を入力する。
    日経パソコン編集部(2000)「快適なキー入力の第一歩は 正しいホームポジションから」『日経パソコン』2000年06月12日号

    膨大な量の入力を短時間にこなすデータエントリー会社は、古くからの伝統的な入力方法を採用するところも多い、と言われる。
    「プロの世界 -- かな漢使わず漢字を直接入力
     (官公庁や損保などから入力業務を請け負っている中堅の独立系データエントリー会社、富士情報の場合は)入力はタッチタイピングだが、日本語入力ソフトは使わない。漢字を1字ずつ、2つのキーの組み合わせで入力するのだ。2キーによる漢字入力にはいくつかの流派・方式があるが、同社が採用しているのは「KIS連想法」。例えば「羊」という漢字を入力するなら、羊はめぇーと鳴くからかなで[メ][エ]と入力する。漢字ごとにキーの組み合わせを覚える必要があるので、習得にはかなりの期間を要する。同社のオペレーターは3カ月程度の基礎訓練期間に約3000文字の漢字を覚えるが、一人前のオペレーターになるまで1年程度はかかるという。入力速度はオペレーターの技量にもよるが、1時間に約4000文字だ。

  7. 日本語ワープロ専用機に先行するマシンとしての和文タイプライター
    図のように漢字1文字1文字が記された盤面から、入力したい文字を探して一文字ずつ打ち込んで行く方式。

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    [出典]「和文タイプライター」『フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)』

    関連参考Web>kyo_oomiya「和文タイプライター  昔のワープロ?」http://www.geocities.jp/kyo_oomiya/jpntype.html

    「和文タイプライターは事務員さんあこがれの事務機で、社長さんに頼んで買ってもらったのはいいがいざ、使ってみると、活字を探すのが大変で、しかも、修正がきかないので、最後の一字を間違えたら新しい用紙で最初からやり直し、となり、こんな事なら手書きの方が早い、ということで折角の機械も埃をかぶっている、ということもよくあったようです

     

  8. 数字キー配列
    電卓・パソコン用キーボードの10キーに見られる数字キー配列では1、2、3が下部にあるが、電話機の数字キー配列では1、2、3が上部にある。
    電卓やパソコン用10キーボードに見られる数字配列の歴史的起源は、現在の電卓やパソコンの10キー配列の歴史的起源は、1913年にグスタフ・デイビッド・サンドストランド(Gustaf David Sundstrand)が発明した手動の歯車式卓上計算機(アメリカ特許第1198487号,1914年出願)である、と言われている。またサンドストランドの歯車式計算機で0と1の数字が近い位置に配列されているのは機械の構造に由来する技術的理由によるものである、と言われている。
     電卓における10キー配列と、電話機における10キー配列は異なっている。
    電卓の10キー配列は、手回しによる歯車式計算機や加算機における10キー配列を踏襲したものである。これも歴史的な経路依存性の事例と考えられる。
    電話機における10キー配列は、歴史的には歯車式計算機や加算機における10キー配列の発明後に登場したのであるが、入力速度や打ち間違え率を考慮して現在のような配列になったと言われている。ただこちらも、数字キーと文字キーの組み合わせに関する先行のダイヤル式電話機の経路依存性に規定されているものとして理解することができる。

[授業関連資料]
オフィス用複合機向けのソフトウェアキーボードとして、アルファベットキーボード配列としてはQWERTY配列を推奨するとともに、かな入力として50音順キーボード配列を挙げている。また50音順キーボードに関しては「「左からの縦書き」を基本とする」としている。左からの縦書きを採用した理由は、画面表示が「左からの横書き」となること、および、先行のマシンが「左からの縦書き」であることの二つであるとして下記のように書いている。

  「左からの縦書き」とした理由は、表示エリアに左から横書き入力となるため操作性として違和感の無い左からの配列とした。また公共性が高い駅の切符自動販売機や、主要銀行及び郵便局のATM(現金自動預け入れ払い機)などを調査した結果、左からの50音順キーボード配列が採用されており、それらも参考とした。
 
小学校時代には「右からの縦書き」で学習することを根拠として、紀伊國屋書店の書籍在庫検索端末「KINOナビ」のタッチパネルが「左からの縦書き」であることを問題視しているブログ。
 
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