技術戦略論2013.10.11

[前回の授業内容]技術戦略論2013.10.4
[次回の授業内容]技術戦略論2013.10.18
[今回の授業内容]
1.アッタ-バックのドミナントデザイン論と差異化戦略・コストリーダーシップ戦略
「製品」開発時期および「技術」開発時期を基準とする製品の位置づけ
技術開発には一定の開発時間や経営資源を必要とすること、および、製品には複数の技術を必要とすることから、製品の開発主体・開発時期と技術の開発主体・開発時期は必ずしも同一ではない。
 製品に必要とされる技術を他社に先駆けて自ら開発する先駆者(first-mover)的企業もいれば、他社が以前に開発した技術を自社製品に採用する後発者(follower)的企業もいる。
 携帯型音楽プレーヤーの先駆的製品であるカセット・ウォークマンを1979年に販売開始したSONYは、同製品を構成する主要モジュールに関するトランジスタ技術(半導体技術)を1953年から、テープレコーダー技術を1950年から、カセット・テープ技術を1966年から自社で開発していた。
 これに対して、家庭用据置型ゲーム専用機の先駆的製品であるファミコンを1983年に販売開始した任天堂は、同製品を構成する主要モジュールである中央演算処理チップ(CPU)や画像処理チップなどに関する技術を自社で有してはいなかった。そのためCPUは、アメリカのモステクノロジー(MOS Technology)が1975年に発表した6502という既存CPUモジュールの互換製品を採用した。(同CPUモジュールは、アップルがApple II(1977)という8ビットPC製品で採用していたことでも有名である。)ただしGPUに関しては、リコーと共同で新規開発することで、競合製品であるセガのSG-1000というゲーム専用機やソニーなどの低価格8ビットPCのMSXとの差異化を図っている。
 任天堂と同じく1983年に家庭用据置型ゲーム専用機の先駆的製品であるSG-1000を販売開始したセガは、CPUに関してはアメリカのザイログ(Zilog)が1976年に発表したZ80という既存CPUモジュールの互換製品μPD780C(NEC製)を採用しただけでなく、画像処理チップに関してはアメリカのテキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)が同社製低価格PCのTI-99/4(1979)用で利用していたTMS9918を採用していた。
 そうしたことから考えると、カセット・ウォークマン(1979)、ファミコン(1983)、SG-1000(1983)は下図のように位置づけることができる。

Technlogy_Product_Development2013-10-11

2.エンジニアリングとリバースエンジニアリング
first-moverが多額の研究開発投資によって開発した画期的な新製品であっても、followerはリバースエンジニアリング作業によって、その革新性の技術的基礎を解明・理解することができる。
 そのため、特許権や著作権などの知的財産権による法的保護をすることができないような場合には、競合他社に対する持続的競争優位を確保することができない。

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