技術戦略論2013.10.4

[前回の授業内容]技術戦略論2013.09.27
[次回の授業内容]技術戦略論2013.10.11
[今回の授業内容]
アッタ-バックのdominant design論

アッタ-バックは、イノベーション論的視点から市場セグメントの形成・発展・衰退のあり方を考察し、Product Innovation(製品イノベーション)やProcess Innovation(工程イノベーション)のあり方に関して下図のような傾向が存在すると論じている。

dominant_design2013
[出典] Utterback, J. M, and W.J. Abernathy (1975) “dynamic model of process and product innovation” Omega, Vol.3, Iss.6, , p.645を日本語化したもの。
なお横軸の表記は、オリジナルの図における「Uncoordinated process → Systemic process」(「バラバラでまとまりのない非統合的過程」→「まとまりのある組織的過程」)から、左図のように「流動期(Fluid phase)→移行期(Transitional phase)→固定期(Specific phase)」へと変更した。
同表記は、 Utterback, J. M, (1994) Mastering the Dynamics of Innovation, Harvard Business School Press, p.xvii (大津正和;小川進監訳,1998)『イノベーション・ダイナミックス』有斐閣,p.7) におけるものである。
1.流動期
(Fluid phase)
機能や性能が異なる多種多様なDesignのProductが競争
Product InnovationによるProductの差別化が主流、Process Innovationは不活発
2.移行期
(Transitional phase)
Dominant Designの成立
時間の経過と共にdominant design(市場において支配的な製品設計)が成立する
3.固定期
(Specific phase)
特定のProduct Designが市場を支配
Product Innovationは不活発、Process Innovationによる製造Cost低減や品質改善が主流
流動期=市場形成初期 — differentiationの追求によるadvantageの確保
市場形成初期は、Product technologyに関するInnovation(Product Innovation)が最も盛んにおこなわれ、さまざまな企業から様々な技術的方式に基づく多種多様なdesignの製品が市場に投入される「流動期」として位置づけることができる。
流動期における製品間競争は、様々な技術的方式の間で製品の機能や性能の優劣を争う競争として展開されることになる。すなわち流動期においては、プロダクト・イノベーションに基づく製品の「機能」的差異化や「性能」差異化を中心とした製品間競争という形態で企業間競争が繰り広げられることになる。

移行期 — dominant designの成立による、競争の焦点の移行
当該市場で支配的な製品設計であるdominant designの成立により、流動期から固定期に移行することになる。dominant designの成立後は、製品間競争の焦点が製品の「機能」や「性能」から、製品の「価格」へと移行することになる。

固定期 — costleadershipの追求によるadvantageの確保
dominant design成立後は、product design(製品設計)の固定化が生じることになる。固定化により競合製品の「機能」や「性能」が同じようなものになるため、製品間競争焦点が製品「価格」に移る。「価格」に関するadvantage確保のために、Production Process technologyに関するInnovation(Process Innovation)が追求されることになる。

Product-Module-Parts-Materialという階層性
ex.iPhoneというProductを構成する諸モジュール — 液晶ディスプレイ、充電池、カメラ、フラッシュメモリ、SDRAM、CPU、ベースバンド・チップ(baseband chip)
[データの出典]
Quick Turn Teardown of the Apple iPhone 5s
http://www.techinsights.com/apple-iphone-5s/
http://www.techinsights.com/uploadedImages/Public_Website/Content_-_Primary/Marketing/2013/Apple_iPhone_5s/iPhone5s-BOM-estimate.jpg

[関連WEB]
EE Times Japan(2013)「iPhone 5s/5cのBOMコスト、差は10ドル」2013年09月25日
http://eetimes.jp/ee/articles/1309/25/news068.html

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